森澤信夫は星製薬在籍時、活字を組むという煩雑な仕事に悩んでいたある日、イギリスで「写真で字を組む機械」を開発中だがなかなか実用化できないという情報を聞いてこの方法に特別な関心をいだき、自分もその研究に取り憑かれていった。そして1924年7月、遂に写真の原理で文字を現して組む方法を世界に先駆けて考案し、その発明模型を「邦文写真植字機」と名付けて特許を申請した。発明のきっかけは、アルファベット活字は字によって幅が異なるが、日本語活字は漢字、かな、すべて「四角」だ、だから1字写すたびにフィルムを1字分だけ移動させればよい、ということに気がついたからであった。

