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秀英初号明朝 撰


「秀英初号明朝 撰」は、2010年にリリースされた「秀英初号明朝」の一部の文字を、旧字バージョンに置き換えた書体です。
「秀英初号明朝」は、大日本印刷株式会社のプロジェクト「平成の大改刻」の一環として改刻を遂げた秀英明朝4 書体のうちの一つで、昭和4年に発行された「明朝初號活字見本帳」(図1)をもとにデザインされました。このとき、一部の文字において現在使われている標準的な字形(JIS X 0208-1990文字セット)への変更が行われましたが、「秀英初号明朝 撰」では大日本印刷株式会社が出版印刷用に定めた字形ルールに従ってフォント化されています。「秀英初号明朝 撰」を使用することで「秀英初号明朝」では表現できなかった、よりクラシカルな文字表現が可能になります。

下図:昭和4年に発行された「明朝初號活字見本帳」。「文」や「支」に筆の入り(ひっかけ)があります。

一般的に標準的な字形と異なる文字は、アプリケーションで切り替える、または字形呼出し機能で採字しますが、「秀英初号明朝 撰」では標準字形として旧字を採用しているため、「秀英初号明朝」から「秀英初号明朝 撰」に置き換えるだけで、図2に見られるような該当文字のデザインに変更されます。

下図:「秀英初号明朝 撰」の標準字形に採用されている旧字の例

青:秀英初号明朝 撰 / 赤:秀英初号明朝
「秀英初号明朝」と「秀英初号明朝 撰」ではおもに以下のような違いがあります。

字形が差し替えられた文字

「秀英初号明朝 撰」の文字セットはAdobe-Japan1-3をもとに一部の文字を変更・追加し、「秀英初号明朝」の9,354字に845字を加えた10,199字を収録する[Std]ベースの特殊文字セットになります。「秀英初号明朝」では新字形を搭載し、「秀英初号明朝 撰」では旧字形を搭載するために差し替えられた漢字が392字あります。

字形が重複する文字

「秀英初号明朝」でも旧字を持っている文字は、「秀英初号明朝 撰」では標準字形、旧字形のいずれにも旧字が割り当てられています。このようにフォント内でグリフが重複する文字は194字あります。なお、「秀英初号明朝 撰」は標準入力で旧字などを入力できるようにしており、「秀英初号明朝」で旧字を使用していたデータを「秀英初号明朝 撰」に置き換えた場合でも、そのまま旧字が使えるよう重複搭載しています。

新たに追加された漢字

たとえば「秀英初号明朝」に収録している字形に筆の入り(ひっかけ)をつけた字形、同じ文字種の旧字形のどちらも搭載する文字は、旧字形を[Std]の拡張として追加しました。新たに追加された文字は10字あります。追加文字は「初号明朝初号 撰」にだけ搭載されているため、「秀英初号明朝」に置き換えた場合、正しく表示できません。

新たに追加された欧文イタリックや小鍵などの括弧

欧文イタリック体や小鍵の括弧など、非漢字835字が追加されているので「秀英初号明朝 撰」では、従来の「秀英初号明朝」の用途を拡張することができます。