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JIS X 0213:2004


JIS X 0208に第三水準と第四水準を追加するかたちで2000年にJIS X 0213:2000が策定されました。2004年には168字の例示字形が変更されるとともに、新たに10文字を追加したJIS X 0213:2004が策定されました。これにより、JIS2004に対応するフォントでは、最大で168文字の字形が変更され、必要な文字の追加がなされています。

Windowsでは、VistaにインストールされているMS明朝(MS明朝/MS P明朝)、MSゴシック(MSゴシック/MS Pゴシック/MS UIゴシック)、メイリオなどがJIS2004に対応していますが、字形が変更されたのは168文字のうち122文字です(マイクロソフト社公表文字数)。

MacではMac OS X v10.5に搭載されたヒラギノ書体がJIS2004に対応しています(Mac OS X v10.5には、JIS90に対応したフォントと、JIS2004に対応したフォントの2種が搭載されています)。JIS2004対応のヒラギノフォントでは、図1のように、例字字形の変化が顕著なものには変更が加えられていますが、JIS90例字字形とJIS2004例字字形の差異が少ないものは、字形に変更を加えていないものもあります。同様にモリサワのOpenTypeフォントでも、168文字、すべての文字の字形が変更されているわけではありません。これはJIS X 0213:2004が、字形について規定しているものではないからです。

図1
例字字形の変化が顕著な例

DTPの実務上、この問題はとても重要です。なぜなら、今までJIS90対応フォントで「噂」と入力されていた文字に、JIS2004対応フォントを指定すると図2のように置き換わってしまうからです。また同じJIS2004対応フォントといっても、準拠する文字セットにより、採用する字形に微細な違いがあるため、データの受け渡しに際しては正確な情報伝達が必要となるでしょう。
この字形の変更が、ユーザの印刷事故につながらないよう、モリサワをはじめとするフォントメーカでは、従来のJIS90字形を採用するフォントと、新しいJIS2004字形を採用するフォントで、明確な区別が必要と考え、JIS90対応フォント「UD黎ミンPr6」に対し、JIS2004対応フォントでは「UD黎ミンPr6N」というように、フォント名に「N」の1文字を追加することにしました(Nフォント)。これによりフォント名を見れば、JIS90対応のフォントなのか、JIS2004対応のフォントなのかが判別することができるようになっています。

図2
左:JIS90例字字形/UD黎ミンPr6
右:JIS2004例字字形/UD黎ミンPr6N(Nフォント)