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富士リプロ株式会社

貴重本や稀少本、絶版本の復刻。
日本の文化をオンデマンド印刷がつなぐ。

富士リプロ株式会社
  • 代表取締役社長

    小又 和巳 氏

  • オンデマンド印刷部 次長

    白石 智加士 氏

「オンデマンド印刷は『コピー』ではない」。この「想い」を貴重本や稀少本、絶版本の復刻という形で表現し、オンデマンド印刷による「美しい本」として世に送り出している富士リプロ株式会社。その生産機としてモリサワのオンデマンド印刷機「RISAPRESS」が採用されている。

「デジタル化」という変化を利用して、印刷ビジネスへ本格参入

富士リプロの原点は、世界でも有数の「本の街」として知られる「神田」にある。この地で1979年(昭和54年)に、「リプロ」という名の通り、情報複写を生業として事業をスタートさせ、都内を中心としたドキュメント制作の需要に「プロの技」で応えることで、その社歴を綴ってきた。

そんな同社のターニングポイントとなったのが、DTPの登場だ。印刷物制作工程のデジタル化の流れが、富士リプロに印刷ビジネスへの本格参入を促すことになる。小又和巳社長は次のように当時を振り返る。
「ある意味、成熟期にあった印刷ビジネスに我々が新規参入するには、何らかの『変化』が必要でした。デジタル化という技術革新をいち早く捉え、この変化を利用して印刷ビジネスへの本格参入に成功したわけです。先住者である印刷会社の足音も聞こえないくらい、一気にデジタル化を推し進めることで事業領域を拡大。いま考えるとモリサワの日本語ポストスクリプトフォント開発が遅れていたならば、我々の印刷ビジネス参入もずっと後のことになったでしょう。間接的に感謝しています」

情報複写のプロとして蓄積したノウハウをもとに、同じく文字文化を支える「印刷」というビジネス領域を手中に収めた同社。当然のことながらオンデマンド印刷ビジネスという分野では、大きな優位性があった。

RISAPRESS選択の背景にあったモリサワの「印刷業界での実績」

富士リプロにおけるオンデマンド印刷ビジネスの領域は、可変印刷はもちろん、テキストやマニュアル、書籍など、広範囲にわたり、これらの生産機としてモリサワのオンデマンド印刷機「RISAPRESS」4台が稼働している。モノクロ機のRISAPRESS 92が1台、RISAPRESS 105が2台、カラー機のRISAPRESS Color650が1台という布陣だ。

同社がオンデマンド印刷ビジネスの生産機としてRISAPRESSを選択した背景には、モリサワの「印刷業界での実績」があったと小又社長は語る。
「それまでモリサワさんとは取引はありませんでした。しかし印刷業界のサプライヤーとして多くの実績を誇るモリサワさんが訴求するオンデマンド印刷機には興味があり、機種選択の候補機として挙げました」

検証の結果、品質面、生産性ともに高い評価を得たRISAPRESSだったが、そこで焦点となったのがメンテナンスサポートだった。2005年6月に、そのメンテナンスに不安を抱えつつも、1台のRISAPRESS 105を導入。ここでメーカーでないモリサワが、どのようなサポートを示してくれるのかという検証が行われたわけだ。
その結果、小又社長が合格点を出したことで、全面的にRISAPRESSへの切り替えが行われた。

「復刻における技術ならば、日本一だと自負しています」

「オンデマンド印刷は『コピー』ではない」と語る小又社長。そこには資料性、デザイン性を含めた「保存できる印刷物」という理想がある。
この「想い」を形にしているのが、貴重本や稀少本、絶版本の復刻である。初版本と同じ装幀のスタイルにこだわりつつ、オンデマンド印刷による日本の歴史や文化として世に送り出している。

「復刻における技術ならば、日本一だと自負しています」(小又社長)。今年に入って東京はもとより全国各地から、仏教書・史実書・芸術書などの復刻にかかる引き合いが増えており、その実績は全国でも知られるほどになっている。
この実績を裏付ける技術はどこにあるのか。小又社長に聞いてみた。
「詳細は企業秘密ですのでお話しできませんが、ひとつの例として、本の小口部分にシワや波打ちが発生しません。これはRISAPRESSの特性からくるものとだけお話しいたします。400年以上の歴史を持つような版元さんがもっている装幀・製本に対するこだわりは相当なものですが、それに応えることができています。」その感覚から生まれた仕事は、同社にとっても貴重な財産となっている。

「酷使」に耐えうるRISAPRESSの堅牢性

同社のオンデマンド印刷ビジネスは現在、全体売り上げの25%を占めるまでに成長している。これは同社によるマーケットの掘り起こし、および技術開発・検証に対し、ハード、いわゆるRISAPRESSが応えてくれた結果だという。
そんな同社におけるRISAPRESSの稼働状況を見てみると、月ベースでモノクロ機3台が80~100万カウント、カラー機1台が5万カウントという数字を弾き出している。さらに同社では効率的な面付けによりA4サイズでの出力は一切ないということから、他社と比べた際、実際の稼働状況はこの1.5倍以上という数字に置き換えることができる。

同社では、この「酷使」とも言える稼働状況に耐えうるRISAPRESSの堅牢性に絶大な信頼を置いている。オンデマンド印刷部の白石智加士次長は「この堅牢性を支えるメンテナンスサポート体制は、我々に大きな安心を与えてくれています。初号機導入の際には心配していましたが、その手厚いメンテナンスサポートは、RISAPRESSの多くの導入実績に裏付けされているように思います」と評価している。

デジタルへの投資を加速させる

厳しい局面を迎えている現状の印刷ビジネスについて小又社長は「要因は、需給バランスの崩れ以外のなにものでもありません。この終息には2~3年かかるでしょうが、印刷ビジネスは捨てた物ではないのです。ただ、これだけオンライン化が進むとオンデマンド印刷の需要は増加するでしょう。そこに必要となるのはさらなるデジタルへの投資です」と語っている。