フォント用語集

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CIDフォント


CIDフォントとは、アドビが1993年にリリースした日本語用のフォント形式(ファイルフォーマット)です。
それ以前のOCFフォント(最初の日本語PostScriptフォント)が、文字数の少ない欧米用のフォントファイル(1バイト)をパズルのように組み合わせて無理やり日本語(2バイト)を表現していたのに対し、CIDフォントは数万字ある日本語を一つのファイルで扱うことができるよう最初から2バイトで設計されました。

このフォントの最大の特徴は、文字の管理方法にあります。
CIDフォントでは、文字の一つひとつに「CID」という識別番号を振り、その識別番号と文字の形(アウトラインファイル)を結びつける「CMap(シーマップ)」を組み合わせて文字を呼び出しています。これにより、使う人のパソコン環境が異なっていても、識別番号を指定することで「意図した通りの正確な文字」を表示・共有することが可能になりました。

また、フォント自体に文字詰め情報(字間を調整する機能)を備えており、初期のアプリケーション(Illustrator 10など)で美しい文字組みを実現したほか、文字を「図形」として扱うアウトライン化にも対応したことで、ロゴ作成や見出しデザインの幅を大きく広げました。また、1999年にはPDFへのフォント埋め込み(エンベッド)が可能になり、相手の環境にフォントがなくてもデザインを保ったまま、検索可能なテキストデータとして文書を受け渡せるようになりました。
※モリサワのフォントでは、アウトライン化とエンベッドができるCIDフォントは「NewCIDフォント」と呼ばれ、初期のCIDフォントとは区別されています。

さらにCIDフォントには、文字の詰め機能や字形切り替え機能を備えた「sfnt-CID」と、それらを持たない「Naked-CID」の2種類が存在します。「Naked-CID」は Mac OS X 以降の環境では使えないため、近年使用されているCIDフォントの多くは「sfnt-CID」です。なお、2023年にアドビがType1フォント(CIDフォントの土台となった世界初のPostScriptフォント)のサポートを完全に終了した(制作アプリケーションでCIDフォントが使えなくなった)ことを受け、モリサワでも2024年8月31日をもってCIDフォントの製品サポートを終了しています。現在、CIDフォントの役割はOpenTypeフォントへと引き継がれています。