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日本語は「正方形」! 意外と知らない文字設計

  

カテゴリ:文字・組版

皆さんこんにちは、黎(れい)です♪
夏休みも終わって9月に入り、朝晩に少し涼しさを感じるようになりましたね。
皆さんは夏休みの宿題は早々に終わらせる方でしたか? 私はギリギリになって焦ってやり遂げるタイプでした。夏休みの宿題と言えば定番の『読書感想文』。皆さんも400字詰めの原稿用紙○枚分など指定され、文字を書いた経験があるのではないでしょうか?

原稿用紙ってマス目が書いていますが、あのマス目は正方形が隙間なく並んでいますよね。原稿用紙だけでなく小学校の国語のノートなんかもそうだったような……。

原稿用紙に書く時のルール、例えば『最初の書き出しは1マス空ける』や『句読点で1マス使う』など小学生の頃から皆さん自然と組版のルールを学んでいるんですね。

今回のDTP Lab.では組版ルールの前に日本語の文字の形についてご紹介します。

1. 縦横どっち?

日頃当たり前すぎて考えたことがなかったかも知れませんが、日本語の文字って隙間なく並べると縦にも横にも読めてしまいますよね?

縦にも横にも読める日本語

これは日本語の文字の特性のためです。
その文字の特性とは、『日本語の文字は全て正方形』ということです。

2. 文字の形(約物以外)

15世紀頃、印刷業界では金属活字が主流でした。活字は判子のような形で1文字ずつ反転して作られており、それらを原稿に沿って組み合わせて文章を作っていました。その組み合わせた活字の文章にインクを付け、用紙に印刷する……まさに判子と同じ仕組みですね。

活字の棚

活字において文字の土台となる正方形の枠の支柱全体を『ボディ』と呼んでいました。現在の文字の印刷データは活字ではなくコンピューターで作られるため、現物としてのボディはありませんが、活字の頃の言葉を引き継いで、正方形の枠を『仮想ボディ』と呼んでいます。
その仮想ボディの中に字面枠と呼ばれる実際の文字が入る枠があります。基本的に字面が仮想ボディからはみ出ることはありません。そして文字は仮想ボディの中心に作られています。ただし、約物には例外もあります。

3. 文字のサイズ

アプリケーションで指定する文字のサイズは、この仮想ボディのサイズとなります。字面の占有率は、漢字>ひらがな>カタカナの順です。
仮想ボディと字面枠の間には必ず隙間があり、文字をベタ(隙間なく)で並べた時に字面が接しないようになっています。そして各フォントメーカーも文字をベタで並べた時に美しく見えるようにフォントを作成しています。そのため、日本語で文字を並べる際は、『ベタ組』が基本です。データを作る際はまずベタ組で作るように心がけましょう。
文字をツメる際には、ぜひ過去の記事も参考にしてみてくださいね。
オプティカル?メトリクス?Adobeソフトの文字詰め機能・入門編! 

仮想ボディと字面枠の間には隙間がある

4. 文字の形(約物)

約物は基本的に、前後にアキを入れて全角で扱います。小学生の頃、約物も原稿用紙に1マス使って書いていましたよね。実は約物は二分や四分などのスペースがあって1マスになっていたんですね。
ちなみに中黒は横組みの場合は左右に四分アキ、縦組みの時は上下に四分アキが入っています。今はアプリケーションが自動で判断してくれますが、縦組み用の文字と横組み用の文字があるので活字時代は注意が必要でした。

5. 縦横が判る文字組み

日本語を組む時、『ベタ組』が基本ですが、ベタ組とは字詰め方向に仮想ボディを隙間なく並べるということを表します。行方向で仮想ボディを隙間なく並べると行間がなくなり、縦組みなのか横組みなのかわからなくなります。縦組みか横組みかをはっきりさせるには『行間(行送り)』がポイントになります。ここでは詳しく記載しませんが、行間の調整も文字を組む際には考慮が必要です。
詳しく知りたい方は10月に開催予定の「文字組版教室」や下記の動画をご覧ください。

『行間って、とっても大事!』

各部分の名称

6. 欧文との違い

日本語の文字についてお話してきましたが、欧文との違いについて少しだけ触れたいと思います。日本語(和文)は文字によって仮想ボディのサイズが変わることはありません。しかし欧文は文字の種類によって文字幅や文字高が異なり、正方形ではありません
和文はウエイトが変わっても仮想ボディの大きさは変わらないため、正方形のままです。欧文は文字によって形が異なるため、ウエイトが変わった際も文字幅が異なります。そのため、フォントの差し替えなどの際には文章が長くなり、ページに収まらなくなるなんてことも……。

和文と欧文の文字幅

お知らせ

モリサワでは、このような組版の基礎知識や書体ごとの特徴、デジタルフォントの扱い方をまとめて学べる講座「文字組版の教室」を通年開催しています。
文字組み初心者向けのカリキュラムなので、今回の記事を読んで「へぇ~!」と思った方には特にオススメの講座です!

今回のブログ、この講座の開催に先立って組版の世界を紹介しよう……という不定期連載企画「組版(に関係するかもしれない)小噺」の第2回目でした。前回の記事も非常に興味深い内容となっておりますので、今回の記事と併せてご覧ください。

 

2022年の「文字組版の教室」は10月5日(水)に開催が決定しました!
9月27日(火)13時までお申し込みを受け付けております。
詳細については以下イベントページをご覧ください。
https://morisawa.eventcreate.net/event/5421

 

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次回以降も、不定期で組版の世界を覗ける記事を企画しています。
お楽しみに♪

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