ご存知ですか? 教育現場で活躍するフォント
カテゴリ:ユニバーサルデザイン、SDGs
屋根よりたかい鯉のぼり~♪
皆さまこんにちは、黎です♪
2022年も中盤戦に入ってまいりました(*‘∀‘)
ゴールデンウイークを皮切りに、これから行楽シーズンですね。そして徐々に暑くなる……「熱中症にご注意ください」なんてアナウンスも耳にするようになってきました。
さて、ゴールデンウイークの5月5日は「こどもの日」です。モリサワの製品でお子様の教育に役立つものがあるってご存知ですか? それは『教科書体』や『学参書体』というフォントで、名前の通り教科書や学習参考書に使われています。
以前のSDGsの記事にも関連しますので是非ご覧ください。
と、ちょっとその前にクイズです!
この問題のこたえ、直ぐにわかりますか? こたえと解説はのちほど!
1. 学参フォントとは?
文部科学省の「学習指導要領」にある文字を、普段手書きする文字とできるだけ同じ形になるように設計しています。
そのため、画数もわかりやすく、教科書や学習参考書・絵本・子ども向け出版物や玩具などに使用される文字としても適したフォントです。
モリサワのOpenTypeフォントでは、「学参教科書ICA」「学参リュウミン」「学参新ゴ」「学参新丸ゴ」など、各基本書体の学参フォントのほか、2010年に改訂された常用漢字表に対応した学参常改フォントをご用意しています。
2. UDデジタル教科書体とは?
UDデジタル教科書体とはICT教育の現場で効果的な、ユニバーサルデザインに対応した教科書体のことです。(ユニバーサルデザイン書体についてはこちら)
学習指導要領に準拠し、書き方の方向や点・ハライの形状を保ちながらも、太さの強弱を抑え、ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)に配慮したデザインで、読みやすさについてのエビデンスも取得しています。
※読みやすさについてのエビデンスはこちら
英語学習教材に適した欧文書体「UDデジタル教科書体 欧文」、小中学校の教材制作に必要な単位や記号を揃えた「UDデジタル教科書体 学習記号」、国語のひらがな・漢字指導に便利な「UDデジタル教科書体 筆順フォント」のラインナップも揃えています。
UDデジタル教科書体の特長をもう少し具体的にご紹介します。
モリサワの代表的な明朝体『リュウミン』を基に『学参リュウミン』をリリースし、幅広くご利用いただいておりましたが、ロービジョンで細い線が見えづらい方や、尖った部分があると文字を読みにくいディスレクシアの方に配慮した文字として新たに開発しました。
手書き風のデザインはそのままに細い部分を太くし、尖っている部分には丸みを持たせ、電子媒体でも見やすくなりました。
■UDデジタル教科書体についての動画は下記をご覧ください
→UDデジタル教科書体の開発背景とデザイン 前編
→UDデジタル教科書体の開発背景とデザイン 後編
3. UDデジタル教科書体の進化
さらに、UDデジタル教科書体の『欧文』・『学習記号』・『筆順フォント』をご紹介します。これらのフォントは先生方が教材を作る際などにとても便利です。
【UDデジタル教科書体 学習記号】
義務教育における算数・理科の学習に必要な数字・単位記号、国語の句点付き鉤(かぎ)括弧を含めた学習記号専用フォントです。「UDデジタル教科書体」と合わせて使用したときに、最適なサイズや太さで表示されるよう調整しています。1マスの中に2字の単位記号、2マスの中に3桁の数字が収まります。
【UDデジタル教科書体 筆順フォント】
筆順フォントは、「UDデジタル教科書体」を、書き順に沿ったストロークごとに一文字として、文字を書いていく過程を収録しているフォントです。授業スライドやプリント・教材・漢字の組み立てや部首を学習する教材などに使用していただける国語の授業を応援するためのフォントです。
TypeAは、書き順に沿って、一画ずつバラバラに表示することができます。TypeBは書き順に沿って、一画ずつ増やして表示することができます。フォント名に、小学生用は“E”、中学生用は“J”が付いています。
→UDデジタル教科書体 筆順フォントの詳細についての動画はこちら
4. UDデジタル教科書体がもたらすSDGsへの貢献
教育の現場でUDデジタル教科書体を活用することでSDGsの目標の4番「質の高い教育をみんなに」へも貢献できます。
今まで文字が読みづらく学びの機会から遠ざかっていた方々が、文字が読みやすくなり、学習する機会が増えることで、たくさんの方が質の高い教育を受ける可能性が広がります。
・弱視や高齢者にも見やすい、読みやすいフォントを提供
・読み書きが苦手なディスレクシアの子どもたちに配慮したフォントを教育現場に提供
・文章を読む速さの向上、誤読の削減によって、学習の効率化を支援
→ここで冒頭にありましたクイズの回答と解説です!
いかがでしたか?
この問題は、読み書きするのに時間がかかってしまう方の「文字の見え方」をイメージしたものです。人によって見え方も異なるため、あくまでもイメージとなりますが、読み書きが苦手なディスレクシアの子どもにとっては、「答え」を考える前に「問題を読み解く」ことが難しいことがイメージいただけたかと思います。
今回ご紹介した「UDデジタル教科書体」は、そういった見え方に配慮した文字のデザインとなっています。
学習障害や発達障害のある小中学生は1クラス40名として、2~3人の割合でいらっしゃいます。その方々が少しでも理解しやすく、学習の機会を遠ざけないためにも、文字で伝える情報には配慮が必要です。
今回はこどもの日にちなんで、『教育現場で活躍するフォント』をご紹介しました。Windows10には『UDデジタル教科書体』の一部が搭載されていますので、是非使ってみてください。
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