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【組版の基本ルール】引用符から○○向け書体までクイズ形式でご紹介!

  

カテゴリ:文字・組版

こんにちは、マツヲです。
もうすぐ2月も終わりということで、今の時期は「春の○○イベント」「○○スプリングフェア」など、イベント告知に関するチラシやポスターを目にする機会が多い気がします。
そもそも、日常生活を送るうえで「文字」は毎日のように見る機会がありますが、みなさま「組版の基本ルール」についてどのくらいご存知でしょうか?

今回はクイズ形式で「基本の組版&やりがちな『あるある組版』」をご紹介していきます!

組版について

冒頭で「組版」という表現をしましたが、もともとは活字を「組」み合わせて印刷用の「版」を作ること、現代においても、文字を並べてレイアウトを行うことを「組版」といいます。文字はそれ単体では意味をなしません。文章を作るためには、「文字や記号・数字を並べる=組版」をする必要があります。

 

「組版」は文字を自由に好き勝手に並べてOKな無法地帯ではなく、読みやすく文字を並べるためのルールがいくつか定められています(とはいえ、交通ルールのような絶対的なものではなく、あくまでも目安としてです)。

 

※詳しくは「JIS X 4051 日本語文書の組版方法」、または「日本語組版処理の要件(日本語版)」などをご参照ください。

 

ルールに沿って約物(句読点・つなぎ符・引用符など)の向きや使う順番、括弧(鍵括弧・山括弧など)の使い分けを行うことで、読みやすい文章表現になるということです!

デザインとして「あえて○○な向きで引用符を使う」「あえて○○な括弧を使う」などのケースもありますが、組版の基本ルールを知っておいて損はありません。
ということで、ここからはクイズ形式で組版の基本ルールをご紹介していきます。

 

※組版についてさらに詳しく知りたい方は「文字を組む方法」をご覧ください。

※日本語以外の言語に関する組版ルールは「MORISAWA PASSPORT 英中韓組版ルールブック(タイ語含む)」をご覧ください。

組版クイズ

全部で3問あります。
実際のポスターやチラシなどでもたまに見かける……かもしれない「あるある組版」ですが、あくまで基本ルールに適しているか否かを元にご紹介していきます。

①引用符:ダブルクォーテーション

【問題1】引用や強調したい箇所で使われることが多いダブルクォーテーションですが、AとBどちらが基本ルールに沿った使い方に当てはまるでしょうか?

 

 

正解は……「B」です。


AとBそれぞれで記号の向きが異なっておりますが、基本的に左側は「“」、右側は「”」を配置します。見た目がそれぞれ数字の「6」と「9」に似ているため、個人的には「数字が小さい方が先に来る」と覚えています……!

使用したい時は「かっこ」と入力して、変換候補一覧から左右セットの「“”」を探しだすと順番を間違えることはなさそうですね。

②引用符:ダブルミニュート

【問題2】引用や強調したい箇所には、ダブルミニュートが使用される場合もあります。今回は縦組みのサンプルをご用意しましたが、AとBどちらが基本ルールに沿った使い方に当てはまるでしょうか?

 

 

正解は……「A」です。


ダブルミニュートは別名「チョンチョン」と呼ばれることもあり、勾玉のような見た目のダブルクォーテーションと比較すると、すっきりとしたデザインですね。
ダブルクォーテーションは横組みで使用する記号であるため、縦組みの時はダブルミニュートをご活用ください。

引用符サンプル
フォントによって多少デザインに差はありますが、ダブルクォーテーションは勾玉のような形をしています。組方向に合わせて引用符を使い分けましょう。

 

ちなみに、ダブルクォーテーションやダブルミニュートとは似て非なる記号「dumb quotes(別名:まぬけ引用符)」についてはご存知でしょうか?
こちらは記号自体の向きが垂直になっているのが特徴です。

まぬけ引用符はタイプライター由来の記号で、現在もコーディングでは使用されますが、組版として文章中に使用するものではありません。欧文を組版する場合も使わないよう、入力時はお気を付けください!

欧文におけるダブルクォーテーションやアポストロフィーの使用例。

③用途別にデザインされた書体

今回のブログタイトル「組版ルール」から少しそれてはしまいますが、ここからは組版時に使用する書体についてご紹介していきます。

 

世の中にはさまざまなデザインの書体がありますが、事前に特定の利用シーンを想定してデザインされた「○○書体」があることをご存知でしょうか。

いわば「○○を組版するのに適した書体」のことで、「○○書体」はそれぞれ推奨している使い方があります。そこで今回は「新聞組版」に使用することを想定してデザインされた書体について、見ていきたいと思います!

 

【問題3】本文部分に新聞書体である「毎日新聞明朝」を使用した新聞のサンプルですが、AとBどちらが新聞組版として適した使い方と言えるでしょうか?

 

 

正解は……「B」です。

 

よく見ると「A」は句点が正円ではなく、縦長になっています。
新聞書体は、80%程度平体をかけて使用することを前提にデザインされています。そのため、使用される場合は、アプリケーション上で平体をかけることをお忘れなく!
弊社からご提供している新聞書体は「毎日新聞明朝」「エムニュースエム」などがあります。

 

せっかくなので、学習コンテンツ向けにデザインされた「学参フォント」もご紹介します。

学参フォントは印刷用の字形とは違い、視覚的に画数など間違いにくくなるよう普段書く文字とできるだけ同じ形にしています。

モリサワでは、学参フォントに対して名前に「G-OTF」と付けています。

漢字は学習指導要領に掲載されている(学校で学習する)文字のみ手書き風にしているため、学校で習わない漢字は印刷の字形のままとなります。

つまり、同じ部首の漢字でも字形が異なる文字が混在するため、学習向け以外のコンテンツで使用することは、フォントメーカーとしてはあまりおすすめできなかったり……。

 

利用シーンに合わせて、使い分けていただければ幸いです!

 

いかがでしょうか?
組版ルールの基本を知っておくことで、自信をもって資料作成に挑めるかと思います!

 

子どもの頃は学校で作文用紙を使って文字の並べ方など組版ルールを学ぶ機会がありましたが、大人になるとなかなか学び直す時間が取れないですよね。
ということで、組版の世界をブログで発信していけないだろうか……と、本記事は不定期連載企画「組版(に関係するかもしれない)小噺」の第4回目となります。

前回の記事「マヤ文字の神秘」も非常に興味深い内容となっておりますので、今回の記事と併せてご覧ください。

 

また、モリサワではこのような組版の基礎知識や書体ごとの特徴、デジタルフォントの扱い方をまとめて学べる講座「文字組版の教室」を通年開催しています。
次回の講座日程は暖かくなる頃かと思いますが、モリサワ公式SNS・ホームページや以下のメルマガ「DTP Lab. Information」にて情報配信予定ですので、ぜひフォロー・ご登録をお願いします!

次回以降も、不定期で組版の世界を覗ける記事を企画しています。
お楽しみに♪

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