Userʼs Voice - フォント製品

ページメニュー

株式会社ヒーローイノベーション

クリニックの「らしさ」をフォントで表現
Webデザインの方向性を決めるTypeSquare活用法

株式会社ヒーローイノベーション
  • 株式会社ヒーローイノベーション カスタマーサポート部 ゼネラルマネージャー

    中野 大輔氏

  • カスタマーサポート部 PMクリエイティブグループ

    芦田 英子氏

身近な医療機関である街の「クリニック」。新規開業などに伴うWebサイトの新規開設においては、患者が求める情報を提供するだけでなく、広告ツールとしても重要な役割を果たしている。そうした戦略的なWebサイト制作サービスを提供しているのが、医療業界に特化した事業を展開する株式会社ヒーローイノベーション。クリニックの特長や診療方針をわかりやすく、そして「らしさ」を効果的に伝えるために、モリサワのTypeSquareが活用されている。

Webフォントの黎明期からTypeSquareを採用

医療機関を「ネットで探す」のが当たり前となった時代、Webサイトの開設はもはや必須となった。そこでは診療科目や診療時間などの基本情報をはじめ、医療の特長などをいかにわかりやすく伝えるかが集患(集客)を大きく左右する。

当然、デザインが果たす役割も大きい。ヒーローイノベーションは創業時からクリエーティブに力を入れており、Webサイトや印刷物を手掛けるプロモーション事業部には、現在東京だけでも50名近くの制作関連スタッフが在籍している。 

Webサイト制作に関しては顧客の9割がクリニックで、医科・歯科を合わせ取引件数は2,500件を超える。あらかじめ作成したテンプレートを使用して制作するケースが約4割、残りは完全オリジナル。いずれのケースもディレクターが個々に医師の要望を細かくヒアリングし、デザイナーがイメージを形にしていく。主に新規案件のデザインを担当しているデザイナーの芦田氏は、「いかにも医療サイト、というデザインではない点が弊社の特徴かもしれません。見やすさ、使いやすさへの配慮は当然ですが、自院サイトは先生にとってWeb上の名刺的な役割も担っているだけに、先生の意向を重視したつくりになっています」と説明する。

Webサイトが医師やクリニックの「名刺」だとすると、いくらクオリティーが高くても、「らしさ」や想いが感じられないサイトでは人はやってこない。院内の雰囲気を伝えるために、実際の内装に合わせた配色やテクスチャー(質感)で構成することもあるという。

またデザインの方向性は、医師が打ち出したいイメージに加えてターゲット層、すなわち来院してほしい患者層を明確にすることで決まる。そして、ターゲット層に対して訴求力のあるデザインにできるかどうかは、フォントが鍵を握っている。

同社がモリサワのWebフォント配信サービスTypeSquareを採用したのは2016年。日本にWebフォントが普及するはるか以前から使い続けていることになる。

「事業をスタートさせてすぐ、デザイナーから『TypeSquareを導入してほしい』という声が上がりました。当時Webフォントを使っている会社はごく少数でしたが、フォントの重要性はよく理解していましたので採用しました。導入して一番メリットを感じたのは、ターゲットに合わせたフォント選択の自由度が圧倒的に高かった点。これが他制作会社との差別化につながったと考えています。以降、徐々に『ヒーローイノベーションはデザインがしっかりしている』という評価をいただくようになり、会社の認知度も上がりました。TypeSquareを導入するとしないとでは、大きな違いがありましたね」と、制作全般を統括する中野氏は振り返る。

カスタマーサポート部 ゼネラルマネージャー  中野 大輔氏

また芦田氏は「フォントは、Webサイトの顔といってもいいくらい強い印象を与えるもの。例えば同じ明朝体でも、フォントの種類が違えばファーストビュー※の雰囲気が全く別物になる」と、サイトデザインにもたらすフォントの存在感に触れている。

※ファーストビュー:Webサイトで最初に目に入るエリアのこと

デザインの幅を広げるフォントの選択肢

同社が手掛けるWebサイトの中で、もっとも多く使用されているフォントがヒラギノ角ゴだ。ヒラギノフォントは文字の美しさや見やすさに定評があり、診療内容など本文テキストに多く用いられているが、WindowsやAndroidには搭載されていない(Mac OSやiOSは標準搭載)フォントである。しかしTypeSquareが配信するWebフォントを用いることで、どの端末であってもヒラギノ角ゴで表示を統一でき、クリニックのブランディング向上にも役立っている。

メインコピーや見出し等にデザインフォント「きりぎりす」を使用した、さくらキッズくりにっく様のWebサイト
メインコピーや見出し等にデザインフォント「すずむし」を使用した、武蔵小杉森のこどもクリニック様のWebサイト


来院患者がある程度絞られる診療科では、ターゲット層に合わせて特徴的なフォントを選択することが多いという。「例えば小児科では、そよ風・きりぎりす・すずむしといったデザインフォントを用いて、親しみのある雰囲気を表現しています。美容系クリニックでは英文・数字が多いため、欧文フォントのバリエーションが多いTypeSquareの存在に助けられています。高級感を演出したいときに重宝するのがA1明朝。墨だまりがとてもきれいで、フォントだけでデザインできてしまうほど文字が美しいですね。また、10代の女性がターゲット層に含まれるレディースクリニックでは、明朝系・ゴシック系両フォントの要素を兼ね備えたフォークを選ぶことがあります。明朝系のように硬すぎず、ゴシック系のようにカジュアルすぎないイメージをつくるときに、フォークはちょうどいいと思います」(芦田氏)。

カスタマーサポート部 PMクリエイティブグループ 芦田 英子氏

一方、患者が求める情報を一目で把握できることもサイトの要件だ。見やすさを重視するクリニックには、視認性・可読性の高いUD(ユニバーサルデザイン)フォントを使用し、診療日・時間、予約の要・不要、アクセスなどをスクロールせずに確認できるレイアウトを施している。Webサイトのリニューアル後、患者が2、3割増えたクリニックもあるといい、集患効果の高さがうかがえる。「弊社には、事業方針の『医療を便利にわかりやすく』に照らして、いいものを創りたいという思いが根底にあります。それにはフォントの豊富なバリエーションが必須。TypeSquareを導入することでデザインの幅が広がり、クリニックの魅力をさらにアピールできる」と中野氏は語る。

芦田氏は「いいフォントがあるなと思って調べると、モリサワさんのフォントだったということが多々あります。多くの魅力的なWebフォントを定額制で使えるのは、デザイナーとして非常にありがたいです。また以前に比べ、Webサイト上でテキストを画像データ化して表示させることが減り、ほぼWebフォントで表示できるようになりました。デバイスが変わっても文字がきれいに見えることは、クリニックの『らしさ』を伝えるのに大きなメリットではないでしょうか」とWebフォントの進化を評価する。

疲弊する医療現場をITで変える「スマートクリニック構想」

他国と比べ、日本の医療業界はDX※化が遅れていると言われている。中でも顕著なのが個人経営のクリニックだ。カルテや問診票が紙ベースで管理されている、診察予約は電話か受付でのやり取りのみ、連絡手段がFAX……こうしたクリニックはいまだに少なくない。医療従事者の負担や患者の不満ばかりが積み重なるアナログ運営の課題解決も、ヒーローイノベーションが追求する事業のひとつだ。 

同社が掲げる「スマートクリニック構想」は、ITの活用により医療従事者の業務効率化を図り、患者にとって利便性の高い受診環境をつくることを目指すもの。この構想を加速すべく、M&Aによりクラウド型の診療予約システムやWEB問診システム、自動精算機といったプロダクトの強化を図った。「Web サイトや広告・看板などを制作するプロモーション事業とスマートクリニック事業の両輪で、医療現場をトータルにサポートすることがわれわれの目標」と中野氏。医療業界が抱える課題に果敢に取り組む同社に、熱い期待が寄せられている。

※DX(デジタル・トランスフォーメーション):IT技術を浸透させることで、社会や生活をより良いものへ変えるという概念