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株式会社ウエディングパーク

結婚式場サイト作成ツールにTypeSquareを導入
フォントがサイトの表現の幅を広げる

株式会社ウエディングパーク
  • 株式会社ウエディングパーク
    +Creation本部
    エンジニアマネージャー

    若宮 奈々氏

結婚準備クチコミ情報サイトなど、メディアの開発・運営を通してウエディング業界の集客力向上を支援する、株式会社ウエディングパーク。結婚式場向けに同社が開発した公式サイト・LP※1作成ツール「Webつく」にはモリサワのTypeSquareが採用され、式場担当者が公式サイトやLPを作成する際は自社のイメージに合ったフォントを選ぶことができる。同社のWebを活用した集客支援のビジネスモデルや、TypeSquareの導入に至った理由を、エンジニアマネージャーの若宮氏に聞いた。

※1 LP(Landing Page):検索や広告を経由して訪問者が最初に着地するWebページ

結婚式場の集客をサイト作成ツール「Webつく」で支援

バブル時代の「派手婚」、その後の「地味婚」など、結婚式のスタイルはその時々の世相を反映しながら変容し続けてきた。ウエディング業界の集客方法も時代とともに大きく変わり、現在ではWebを活用したマーケティング施策が主流になっている。 

 

実際に結婚式を挙げたカップルのクチコミを参考に、比較検討しながら結婚式場を探せるメディアもそのひとつ。この“結婚準備クチコミ情報サイト”を日本で最初に立ち上げたのが株式会社ウエディングパークだ。社名と同名のサイト「ウエディングパーク」には5,000軒以上の結婚式場が掲載されている。 

結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park」

結婚が決まったカップルは、自分の希望や条件に合う式場を検索してクチコミや情報を参照し、気になる式場の公式サイトに遷移して来店予約や見学予約を行う。閲覧者を結婚式場の公式サイトに誘導する点が「ウエディングパーク」のメディアモデルだ。そのため、受け皿となる公式サイトが存在することが前提となるが、以前は自社サイトを持たない式場が少なくなかったという。そこで同社は、3ステップでオリジナルサイトが作成できるCMS※2ツール「Webつく」を開発、「ウエディングパーク」の契約式場に追加費用なしで提供している。 

※2 CMS(Contents Management System):専門知識が無くても、Webサイトやコンテンツの作成・運営・管理ができるシステム 

 

「結婚式場が使用する前提なので、デザイン性やページの内容はウエディングに特化しています。サイト全体の色やフォントを決めて、画像やボタンを配置するだけで、専門知識を持たない方でも簡単にサイトを作ることができ、更新もスピーディーに行えます。例えば外部の制作会社に依頼した場合、修正や更新には時間そして費用が発生しますが、『Webつく』ならいつでも誰でも簡単に更新ができます」と、運用開発のチーフエンジニアを務める若宮氏は説明する。「Webつく」は、イベント申し込みなど広告用LPとしての活用も可能であり、若宮氏は「自由にカスタマイズでき、非常にスピード感がある集客施策が打てる点もメリット」と続ける。 

TypeSquareの圧倒的なフォントバリエーションが式場のブランド感を表現

「Webつく」は、前身にあたるスマートフォン専用のサイト作成ツール「スマつく」をリニューアルし、スマートフォン・PCの両デバイスに対応できるツールとして2017年から提供を開始。このリニューアルのタイミングで、モリサワのWebフォント配信サービスTypeSquareの導入を決め、当初は5種類のフォントから選べる仕組みにした。 

 

「リニューアル前は “フォントでブランド感を表現する” という概念が薄く、あらかじめ決めたフォントを一律で使用していました。そうすると、どのサイトも似たような雰囲気になって式場の差別化が難しくなる。ウエディングに特化したサイトとして表現の幅を広げるため、Webフォントの導入に踏みきりました。TypeSquareは圧倒的にフォントのバリエーションが多いこと、またAPI※3を提供しているので適用のリアルタイム性が高く、ほぼ即決でしたね」と若宮氏は振り返る。 

※3 API(Application Program Interface):ソフトウエアやプログラム間で機能を共有する仕組み 

 

結婚式のスタイルも多様化が進み、画一的なサービスでは規模の大小を問わず集客できない時代になっている。近年はチャペルやバンケットのデザインや設備などの「ハード面」だけでなく、式場の想いやコンセプトといった「ハート面」を重視するカップルが増えており、そうしたページの閲覧数も増加傾向にあるという。「自分たちの想いに共感してもらえるか、どんな想いを持った担当者が寄り添ってくれるのかと、従来とは選ぶポイントが変わってきています。ブランドを重視する企業はそういった点を強みとして訴求するので、ハート面を伝えるサイトの雰囲気も非常に重要です」と若宮氏は語る。 

 

「Webつく」のサービス開始から2年を経て、2019年にはデザインフルリニューアルを実施。「当初は “キュート”や“ラグジュアリー”など、式場の雰囲気に合わせた飾り罫線を用いたデザインテンプレートも入れていました。しかし今は余白と色で区切るレイアウトが主流で、リニューアル以降は設けていません」と若宮氏が話すように、現バージョンのデザインは非常にシンプルだ。 

それだけに、フォントの選び方ひとつでサイトの雰囲気は大きく変わる。リニューアルではデザインのポイントをタイポグラフィに絞り、フォントの種類大幅に増やした。本文部分は「ヒラギノ角ゴ W3」を標準(デフォルト)フォントとし、大見出しと小見出し部分は「A1明朝×凸版文久見出し明朝 EB「黎ミン L×こぶりなゴシック W1」など10パターンの組み合わせから、ユーザーが選択できるようになっている。 

「サイト全体の雰囲気やブランド感を表現するには、色の組み合わせとフォントがとても重要です。特にフォントは、視覚的に無意識の範囲にも与える影響が大きい。ただ作る側にしてみれば、選択肢が多すぎるのはかえって難しいんですよね。サイト制作のハードルを下げるために、式場のタイプを踏まえてある程度絞り込み、フォントの特徴や他フォントとの相性などをモリサワさんに相談しながら、組み合わせのパターンを決めていきました」(若宮氏) 

 

リニューアル後の「Webつく」には、「選択肢から選ぶだけで統一感のあるサイトが完成するので作りやすい」「予約フォームを変えたら効果が出た」といった顧客の声が寄せられているという。 

「効果を出し続けるサイト」にするために改善を重ねる

「Webつく」を利用している割合は「ウエディングパーク」契約式場の7〜8割にのぼり、その中には大手企業など大規模な自社サイトを既に運用している顧客も含まれる。そういった式場があえて「Webつく」を使う理由は何なのか。 

 

「『ウエディングパーク』の遷移先として使うほか、1ページ単位で活用できるので、SNSなど別媒体の広告の受け皿として利用している式場も多く、利用割合は高くなっています。また、Google Tag Managerを用いた効果検証やトレンドの共有、分析サポートなど、弊社の営業担当が式場のマーケティングパートナーとして伴走しているところが大きいのではないでしょうか。『Webつく』も集客に向けた戦略のひとつとして使われている傾向があるので、私たちはそれを裏切らない、効果を出し続けるサイトにしなければならないと強く感じています」(若宮氏) 

「Webつく」の利用数自体もこの数年で伸びてきており、顧客の満足度を満たし続けるために、今後はフォント選択肢の見直しも検討しているという。 

 

「トレンドは変化していきますし、式場のバリエーションが以前よりも増えています。ただ、選択肢に入れるフォントの選定は難しさもあるので、そこはモリサワさんにもご協力いただきたいと思っています。フォントがどんな印象を与え、どんな世界観を生むのかといった知見は、事例をたくさん持つモリサワさんだからこそできる分析の結果だと思うので」(若宮氏) 

 

フォントだけでなく機能の充実や分析の強化を図り、顧客の集客価値向上にもっと「Webつく」が関与していきたいと、今後の展開にも意欲を見せる。デジタルの力でウエディング業界にイノベーションを起こし続ける同社の、次の一手に注目したい。