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森永製菓株式会社

多くの方に親しまれる
製菓製品パッケージ。
UD書体を採用し、安心・安全の
情報をより見やすく。

森永製菓株式会社
  • 森永製菓株式会社 デザイン室 室長

    大塚 隆 氏

  • 森永製菓株式会社 デザイン室 アートディレクター

    佐藤 勝則 氏

エンゼルのトレードマークでおなじみの森永製菓株式会社では、製品パッケージに必須な原材料等の表示に、 モリサワのフォントを使用している。消費者の間での食の安全に対する関心の高まりにともない、表示する内容 が年々増えているほか、幅広い層の人にとっての「読みやすさ」が求められている。そこで森永製菓では、表示に 用いるフォントを順次UD書体に置き換えている。

伝えるべき情報と伝えたい情報

森永製菓株式会社の創業は1899年。110年の歴史を有する、大手にして老舗の製菓メーカーだ。「ミルクキャラメル」や「ココア」「ホットケーキ」といった商品はあまりにも有名だ。そんな同社の製品パッケージをデザインしている部署が「デザイン室」。製品設計の面から決められたパッケージ形状や、マーケティングが絡んだ製品名称、そして消費者に伝えるべき表示内容といった要件を、デザインの力でグラフィックに落とし込む、重要な役割を担っている。

森永製菓というと、以前からあるなじみの深い商品が多いという印象を抱く人もいるかもしれないが、年間あたり動いているデザインの案件は、数百件単位だ。同社デザイン室長の大塚隆氏は、次のように話す。
「森永製菓の商品には昔からあるものが多いのですが、それでもコンビニエンスストアに置かれる商品は競争が激しいですから、ちょっとずつデザインを変えるということが頻繁に行われています。また、パッケージにキャンペーンの情報を印刷したりといったこともあります。」

菓子のパッケージデザインには、商品の魅力をグラフィックで伝えるだけではなく、消費者に様々な情報を伝えなくてはならない。代表的なものは原材料表示といったもの。その他にも、アレルギーに関する情報、成分表など、菓子のパッケージには様々な情報が記されている。同社のデザイン室アートディレクター・佐藤勝則氏は、次のように話す。

「かつては、原材料などの表示内容の部分も(製品のイメージと統一された)デザイン要素として扱い、様々なフォントを使用しているケースもありました。しかし、近年になって表示される情報がかなり増えてきています。法律によって表示制限を義務付けられているものもありますし、こちらからお客様にお伝えしたい情報も増えています。情報量が増えるにしたがって、よりいっそうの読みやすさが求められるようになりました。」

森永製菓のパッケージデザインが、写植と版下からDTPに切り替わり始めたのが、20年ほど前。そこから今日に至るまでの間に、同社の中で標準的な存在となったのがモリサワフォントだ。「とくに表示部分に関してはオーソドックスで読みやすいものが良い」「もともとモリサワを使っているデザイナーが多かった」(大塚氏)という理由で、モリサワフォントの「新ゴ R」が採用されていた。

UDフォントを採用している森永製菓の製品。栄養成分、製品情報等にUDフォントを採用、今春までに全製品がUDフォントに移行予定。

ユニバーサルな製品作りの一環として UD書体を採用

食の安全に対する関心の高まりを考えると、表示部分の情報量の増加は当然の流れと言えるかもしれない。そして、そこにもうひとつ加わるのが、「ユニバーサルな製品作り」だ。

「近年、誰にとっても扱いやすい、ユニバーサルな製品作りが行われてきています。それは、単に表示内容が読みやすいというだけではなく、例えばお年寄りでも開封しやすいなどの、誰にでも優しいパッケージを指します。以前から社員個々の意識の中にはあったのですが、それを全社で進めて行く流れになっています。そのような流れの中で、ちょうどモリサワからUD書体が発表されたのです。」(佐藤氏)

「モリサワのUD書体より以前にも、ユニバーサルデザインの書体は登場していましたが、今まで新ゴ Rを使用していたこともあり、まったく違う書体への変更は考えにくいものでした。」(大塚氏)

森永製菓では、菓子のパッケージの表示部分を、順次新ゴからUD新ゴへと置き換え始めており、2011年1月現在、UD新ゴが使用されたいくつかの製品がすでに流通している。実際にUD書体を採用した製品が出来上がり、アートディレクターの佐藤氏はどのように評価しているのだろうか。

「モリサワがユニバーサルデザインに取り組んだ、読みやすさに配慮した……というところを信用してUD書体を採用したという面もあります。実際に使用してみても、読み間違いは起こりにくいと感じます。目に見えて変化がわかりやすいのは、数字の部分ですね。もともと新ゴ Rを使用していたものを、パッケージデザインの変更に伴ってUD新ゴ Rに置き換えているので、違和感はありません。」

小さな文字になっても潰れにくく他フォントと同じサイズでも大きく見えるUDフォント。

モリサワパスポートで チームワークもやりやすく

同社のデザイン室では、モリサワパスポートが導入されている。今回表示部分で導入されたUD書体も、モリサワパスポートの中で使用できる書体だ。また、同社のパッケージには、表示部分以外でもモリサワフォントが頻繁に使用されている。

「実際にパッケージの中で使用される書体の数は限られていますが、選択肢が少ない中で選んだ数書体と、モリサワパスポートのたくさんの書体中から選ぶのとでは、意味が違います。比較検討の選択肢が多いのが、モリサワパスポートのメリットです。」(大塚氏)

「デザイン室のデザイナーは、契約制になっており、会社でも自宅でも作業を行うことができます。モリサワパスポートであれば、会社と自宅の環境を揃えることが可能です。また、社内においても、別のデザイナーが手がけていた製品の仕事を受け継ぐ必要があるときに、フォントがモリサワパスポートのものであれば、フォントの有無による混乱が起きることもありません。」(佐藤氏)

すでに「ミルクキャラメル」や「おっとっと」といった人気商品に、UD書体を採用している森永製菓。佐藤氏は「ユニバーサルデザインの製品作りが意識されることによって、パッケージの表示のわかりやすさはもちろんのこと、開封のしやすさなど、お客様にとってより良くなってくのだろうと思います」とも言う。

「ユニバーサルデザインは、やらなくてはいけないものというよりも、お客様の側に入り込んで取り組むことによって、それが商品の魅力にもつながっていくのではないかと思っています。」(佐藤氏)

森永製菓では今後、他の商品の表示部分についても、順次UD書体に切り替わっていく予定だという。