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不二印刷株式会社

MORISAWA PASSPORTの導入。
それは、デザインワークの品質向上は
もとより、経営的側面から見ても
メリットが大きい。

不二印刷株式会社
  • 不二印刷株式会社 代表取締役社長

    井戸 剛 氏

印刷ビジネスに軸足を置いたクリエイティブ企業である不二印刷株式会社は、MORISAWA PASSPORT を導入することで、新世代DTP環境への移行を円滑に推し進め、合理的かつ効率的な制作環境構築を完了するとともに、企業経営における大きなリスクと考えてきたフォントのライセンス管理を簡素化することで、より 強固なコンプライアンス経営を実践している。

幅広い分野で活躍する印刷会社がMORISAWA PASSPORTを導入した理由

グループ全体で5台のオフセット輪転機を稼働させ、ギフト・通信販売・旅行代理店のカタログ・パンフレットなどを中心に、自己完結型のビジネスモデルを追求する同社。オフ輪にフォーカスした企業経営に徹しつつも、印刷ビジネスに軸足を置いたクリエイティブ企業としての存在感を明確に打ち出しているのが特徴だ。今年6月、創業75周年を迎えている。

グループ全体で200名弱の従業員を抱える同社では、その3分の1がクリエイティブに携わる。プランナー、コピーライター、ディレクター、デザイナーをはじめ、同社のクリエイティブ力を象徴するデジタルフォトスタジオには、カメラマンやスタイリストが常駐。これらクリエーター集団が「不二イズム」の原点を支えていると言える。印刷物を企画・コンテンツから一貫受注する仕事は全体の7割を超える。

一方、昨年10月には、HP Indigo press3500を導入し、デジタル印刷ビジネスにも着手。自動制御機能によるオフ輪のショートラン対応を加速させるとともに、「生産機」としての地位を確立するハイエンドデジタル印刷機によるハイボリューム化で、極端に枚葉印刷のレンジを圧縮。枚葉レスという設備戦略を明確にすることで、合理的な印刷経営を実践している。

そんな同社が、MORISAWA PASSPORTを導入したのは、リリース直後の2005年。同社の中核を成し、生命線でもあるクリエイティブ部隊は当時およそ50名。さらに多くの派遣社員も抱えていたことから、アプリケーションやフォントのライセンス管理は悩みの種だったという。これについて井戸社長は、「会社を経営する上で、コンプライアンスの観点からライセンスの問題は非常にリスクを伴うことだと認識していた。60~70台のMacのフォントライセンスを管理する上で、MORISAWA PASSPORTの活用は非常に効果的であると感じた」と振り返る。現在、これまでの資産であるパッケージのライセンスを生かしながらMORISAWA PASSPORTを30本を導入している。

リスクヘッジ、コストパフォーマンス面も◎

MORISAWA PASSPORT導入のメリットの中で不二印刷が第一に挙げたのは「コンプライアンスによる経営リスク回避のツール」であったということだ。

実際、具体的にどのような仕組みでライセンス管理を行なっているのか、井戸社長に聞いてみた。
「現在のところ、ネットワーク上でライセンス情報を吸い上げ、MacとWindowsの両プラットフォームに対応、かつ信頼性の高いツールはない。マシン自体もセキュリティが向上していることから、何でもインストールできてしまう環境ではないが、当社の場合、責任者が定期的に社内で定めたマシン仕様(アプリケーションやフォントを制限)で維持されているかをチェックしている」

一方、フォント環境の整備にはコストという制約が付き纏い、デザイナーは限られた書体の中でデザインしていたのも事実。不二印刷の場合、クリエイティブ分野に注力するも、印刷会社の生産ラインとして、やはり利用書体には社内的に制限をかけている。本文に関しては社内で取り決めた29書体に限定することでデザインワークを統括している。ただ、システム運用上、書体に制限をかけても、スポット的な書体の需要に対し、柔軟に対応できるということから文字による表現力は広がったという。
「例えば学習参考書の仕事がスポットで入った場合は、やはり教科書体を使いたい。しかし、その仕事のためだけに教科書体を購入するわけにはいかない。しかしMORISAWA PASSPORTだと即座にインストールでき、フォント環境を一気に統一することで対応できる。そんな柔軟で合理的な制作運用が可能になるのは大きなメリットだ」(井戸社長)。

業種によって、カタログ・パンフレットの内容や構成もさまざま。
モリサワパスポートの導入で、より柔軟な対応が可能になりました。

OS環境など「変化」への対応にも安心

MORISAWA PASSPORT導入当初、不二印刷ではMacOS 9からMacOS Xへの移行を図るタイミングでもあった。同社では足の長い仕事も多く、OS 9でベースデザインしていたものを途中からOS Xへ移行するというわけにはいかず、一人のオペレータが9とXを併用する形で作業を進めざるを得ない状況が続いた。そうすると一時的にライセンス数が足りなくなる。同社ではMORISAWA PASSPORTでそのライセンスをカバーし、新世代DTP環境への移行を乗り切ったという経緯もある。

MORISAWA PASSPORTは、OS 9からOS Xへ、QuarkXPressからAdobe InDesignへという新世代DTP環境への移行を後押ししたと言われているが、不二印刷でも同様である。
「OS 9からOS Xへというよりは、印刷会社にとってはQuarkXPressからAdobe InDesignへの移行が大変だが、MORISAWA PASSPORTのおかげで約一年間の併用期間を経て、OS X+Adobe InDesign+OpenTypeフォントへの環境移行を円滑に行なえた。これはMORISAWA PASSPORTが複数のフォントフォーマットをサポートしていたからである」(井戸社長)。

さらに、外注指定という面でも、これまで多くの手間を要していたフォント環境のすり合わせ作業もお互いがMORISAWA PASSPORTを導入することでフォントの統一環境が容易に構築できる。これについて井戸社長は、「まだ稼働しているOS 9環境は今後、一気にAdobe CS 3へと移行が進むだろう。そうなればもっと大きなメリットとして浮上する」との見方を語っている。

契約期間中のフォーマット変更や追加、新書体の追加などは無償で提供され、年間利用料以外の費用は一切不要。つまりMORISAWA PASSPORTは、これまで突然発生していたフォント費用を「一定額の経費」として考えられ、企業の予算組みが容易になるメリットもある。

ライセンスやインストールキーの管理も容易

不二印刷のグループ会社では、Windows+Adobe InDesign+OpenTypeフォントの制作環境があり、ここにもMORISAWA PASSPORTが導入されている。井戸社長は、「関連子会社では別のシナリオとしてWindowsの制作環境を構築している。今後、プラットフォームの移行やマシンの台数変更にもフォント面では柔軟に対応できることは経営メリットのひとつと考えている」と語る。

また、70台のマシンがあってもひとつのメディアキットで全ライセンスを管理できる。多くのDTPマシンを抱える企業にとってはライセンス管理に加え、インストールキーの管理やパッケージの保管にかかるスペースコストの削減というメリットも見えてくるだろう。