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仙台市役所

市の情報をよりわかりやすく、
誌面に盛り込み伝えることが、
市報の重要な役割です。

仙台市役所
  • 仙台市 広報課 係長

    中山 秀一 氏

  • 仙台市 広報課 主任

    八重柏 俊明 氏

仙台市の広報紙である「仙台市政だより」を制作する仙台市役所広報課では、昨年の8月号よりWindowsによるDTPシステムを導入した新しい紙面作りに成功している。日常の業務をこなしつつ、取材からレイアウトデザインまでをこなす仙台市役所広報課にDTPの導入から発行に至る まで背景を伺った。

OpenTypeフォントの存在がDTP化を進めるきっかけに

仙台市役所広報課では、現在7人の職員が32ページのうちの28ページを担当している。平成18年の8月号から、手作業によっておこなわれてきた制作作業のすべてがAdobe InDesign CS2を中心としたDTPシステムに切り替えられたが、今回、DTPシステムが導入された経緯を仙台市総務局広報課係長の中山秀一氏は次のように語ってくれた。

「職員は、とくに市政だよりの専任ではなく、市政を広報するテレビ番組を制作するなどの仕事もしています。そのような業務と兼任しながら取材や執筆をしなければならず、制作効率の向上を考えた場合、DTPへの移行は必然であったと思います。」

しかし、仙台市政だよりでは、広報課が担当する全市共通のお知らせページのほかにも、青葉区や泉区などが担当する区のページが含まれている。当然、これらのページは広報課職員とは別にそれぞれの区役所総務課に所属する職員が担当するため、それぞれの環境を統一させる必要があった。

「実際にどのようなシステムを導入するか検討するにあたって、やはり庁内の基幹システムと統一させることからもWindowsマシンの使用が前提でしたので、OpenTypeフォントの出現がなければ、DTPをスタートさせることもなかったと思います。」

現在、モリサワパスポートがインストールされたWindowsマシンが広報課に7台、各区総務課に5台配備されている。

モリサワパスポートの導入で自由なデザイン

「仙台市政だより」では、広報紙ということもあり、これまでとくに品格にこだわってきた。DTP導入後もあまり派手な書体は使用せず、リュウミン、中ゴシック、新ゴシックなどの基本書体を中心とし、読みやすさを重視した紙面作りをこころがけているという。使用するフォントが少ないのであれば、個別にフォントを購入するという選択肢もあったのでは、という質問に中山氏は次のように語ってくれた。

「使用するフォント数が少ないとはいえ、仙台市にある12台のすべてにフォントをインストールするとなると、どうしても高額になってしまいます。設備投資に予算が集中してしまうと、DTPによる経費節減の効果が薄くなってしまいます。その点、リースと同じ感覚で契約ができるモリサワパスポートは一番良い選択肢だったと思います。」

一方では、DTPを導入したことによって、デザインに対する自由度が増えたそうだ。品格が失われない程度であれば、コラムなどのタイトルに基本書体以外のものを使うようになり、職員のデザインに対する意識が変わったという。

「表紙のデザインやイラストなどは、これまで通り外部へ委託していますが、特集ページなどはすべて広報課の職員が作成しています。実際に自分たちでレイアウトをするようになって、デザインの細かい部分まで気にするようになりました。表内の文字はどうしても小さくなってしまうので、大きく見える新丸ゴを使ってみたり、目立たせるために色アミをかけてみたりなど、細かな部分ですが自由にできる部分が増えたと思います。」

職員がみずからデザインに対して工夫を凝らすなど、モリサワパスポートの導入は予算面だけの効果ではなく、紙面の質を向上させることに成功したようだ。

小見出しのタイトルに「丸フォーク」が使われている。自らの手でレイアウトをすることで、こうした遊び心も身に付いていったという。

DTP導入による効果と今後の課題

区役所の総務課でまとめられた各区または区ごとのページは市役所の広報課にある共有のサーバにアップロードされ、すべてのページがまとめられたのち印刷所へ入稿される。DTP導入以前にくらべて、制作スケジュールそのものに大きな変更はないが、校正作業が手早く片付くようになったそうだ。

「DTPの導入以前では校正作業が深夜にまでおよぶこともありました。」と仙台市政だよりの印刷を担当する株式会社ユーメディアのスタッフは語る。

「やはり効率化という点では、校正作業がかなり楽になったことが大きかったですね。これまで校正紙に指示を入れて、直されたものを再度チェックし、さらに指示を出すというように、オペレーターとのやりとりに多くの時間をとられてきました。しかし、直接自分たちの手で校正ができるようになったことで、校正作業が早く片付けられるようになりました。」

また、ぎりぎりまで校正できることで、常に最新の情報を届けることができるようになったこともDTP化における大きなメリットだったようだ。
「やはり今後の課題としては、完全データ入稿を目指し、スキルアップと校正を含めた作業手順の効率化をはかっていきたいですね。手作業の頃と変わらない品質を保ちながら、経費の削減と業務の効率化を図るというところから始めたDTP化ですが、これからはより一層各職員のスキル向上を目指すとともに編集マニュアルをより充実させ、紙面の充実をはかっていきたいですね。」
仙台市役所広報課では、市報としての品格をたもちつつ、DTPの利点を活かした紙面作りを目指していくことを目標としている。