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株式会社 エイアール

文字は時として、
文章を読ませるだけでなく、
視覚として楽しませるために存在します。

株式会社 エイアール
  • 代表取締役 アートディレクター

    菊池 美範 氏

私たちが日頃目にする出版物はデザイナーの手によって加工された結果だ。デザイナーは、読み手が想像を より膨らませられるように「文字の羅列」から「読み物」へと変化させる。

モリサワパスポートは、デザイナーの インスピレーションを膨らませる重要な役割を果たしている。

環境整備の一環としてモリサワパスポートを導入

株式会社エイアールは、月刊誌や隔週刊誌などの定期刊行物をはじめとして、教材、絵本、書籍などさまざまなジャンルのレイアウトデザインを手がけるデザイン会社だ。年間を通じて、およそ200冊を越える出版物のデザインを担当しているというから、月に20冊以上が同社の手によってデザインされていることになる。

エイアールでは、2年前よりOS Xを導入すると同時に、全面的にシステムを刷新させた。すべてのマシンにモリサワパスポートを導入したことで、社内のフォント環境が統一され、誰がどのマシンを使っても同じ仕事ができるように環境を改善したそうだ。
「以前、絵本の仕事が進行している最中に、担当者が急用で抜けてしまったことがありました。急遽、担当を変更して仕事をすすめることになったのですが、当時はマシンごとにフォントの環境が異なっていたため、絵本で利用するフォントが新しい担当のマシンにはインストールされておらず、そのために仕事が滞ってしまったという経験がありました。」

モリサワパスポートを導入したことによって、こうしたトラブルがなくなり、結果として生産性を向上させることに成功したと、代表取締役の菊池美範氏は語ってくれた。

また、数多くのクライアントをかかえているデザイン会社にとって、DTP環境の差異によるトラブルの防止はもっとも気を使わなければならないことだ。こちらで指定したフォントがクライアントのマシンで再現できなければ、出力にも大きな影響となってあらわれる危険性もある。

そのため、エイアールでは、クライアントごとにチェックシートを用意し、使用しているアプリケーションやクライアントサイドで使用可能なフォントなど、納品するファイルに問題がないかどうかをあらかじめチェックしている。

「最近では、クライアントサイドもモリサワパスポートを導入するようになり、おかげで納品前のチェックも楽になりました。以前はフォントリストを作成していましたが、今はモリサワパスポートを使っているかどうかを確認するだけですんでいます。」

モリサワパスポートは業界全体の環境整備に役立っていると菊池氏は語ってくれた。

フォントから得られるイメージとは?

エイアールが手がけている定期刊行物の見本。女性向けからデジタル、教育関係に至るまで、多岐にわたるジャンルで活躍している。

菊池氏は、同社の代表取締役であると同時にアートディレクターでもある。菊池氏はフォントがさほど用意されていなかったDTPの創成期における経験から、フォントから得られるインスピレーションは重要であると語る。
「時間もない、予算もない、ビジュアルも用意されていない、という状況でデザイナーが仕事をするにはタイポグラフィーを使ったデザインが効果的です。そんな時にフォントが豊富にある状況はすごく助かりますね。」

頭の中でインスピレーションが湧き出すまでフォントリストを眺めることも。しかし、クライアントの依頼は常にシビアだという。書道のような書体、楽しいやわらかい書体など、常にさまざまな要求をしてくる。
「クライアントはデザインの専門家ではありませんから、曖昧なイメージのみを伝えてくることが多いのです。それをいかに具体化し、視覚として表現するかが、デザイナーの仕事なのです。」

そんな菊池氏がモリサワパスポートの中でもとくに気に入っている書体が、『ネオツデイ』と『光朝』だそうだ。
「光朝は品格があり、しかもキャッチーで強いイメージも持っています。ネオツデイはいろいろなシーンで使ってみたかったフォントです。モリサワパスポートのラインナップにくわわったことが嬉しいですね。それと、教材の仕事も多く受けている関係で学参書体のラインナップが増えたことがとてもありがたかったです。」

教材などで使われる平仮名は一般の書籍や雑誌で使われているものと異なっている。たとえば平仮名の「き」の3画目は一般にはつながったものが使われているが、教育分野では、「き」のように離れたものが使われている。これが、通常書体と学参書体の違いだ。
以前は、Adobe Illustratorを使い、アウトライン化させた文字を切って使用していたが、学参書体が増えたおかげで、こうした手間が省けるようになったそうだ。

若いデザイナーへの提言

現在、エイアールでは写植を知らない若い世代の人達が中心となって活躍しているが、菊池氏はこうした若い世代に対して、期待と不安の両方を抱えているという。
「今の若い人達には、まずデザインの基礎を学んで欲しいですね。DTPが普及したおかげで、写植で過ごしてきた世代には想像もつかないような斬新なデザインを目にするようになりました。しかし、斬新であるということは、まず基礎を学んだ上での話であることが前提です。基礎を知って崩している場合とそうでない場合には、内容に雲泥の差があることを知って欲しいですね。」

豊富なフォント環境やアプリケーションの機能にたよらず、自分なりのデザインを見いだして欲しいのだと菊池氏は語ってくれた。