Userʼs Voice - フォント製品

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株式会社 毎日コミュニケーションズ

どれだけ多くのフォントを持っているか
ではなく、どのような環境を共有でき
ているかが、作業効率の向上につながる
のだと思います。

株式会社 毎日コミュニケーションズ
  • 編集第5部

    小木 昌樹 氏

  • 編集第5部

    小林 功二 氏

今や書店の棚には、PC・IT関連書籍がところ狭しと並べられている。日々進化するPCの世界で、常に最新の情報が求められている証しだ。毎日コミュニケーションズでは、新しいDTPソリューションを導入し、生産効率を向上させることに成功した。そのワークフローの一端をモリサワパスポートが支えている。

効率化のための環境整備が何より大切

PC・IT関連書を多く手がける毎日コミュニケーションズ。小木昌樹氏と小林功二氏が所属する編集第5部では、オフィス系からプログラミング系まで幅広い書籍を制作しているが、二人が主に手がけているのはデザイン&グラフィック系の書籍とムック。DTP関連の書籍も多く出版されていることから、最新のシステムが導入されているかと思いきや、意外にもまだ古い環境のマシンも現役で使われているそうだ。

「書籍では、ある程度きまったフォーマットにしたがって制作が行われているので、5年前のシステム環境でも仕事はできると思います。例えば4年前に制作したオフィス系の書籍が改訂を重ねて未だに売れているのですが、それらは無理して新しい環境に移行するよりも、古い環境のままで制作する方が効率的だし、利益率も高くなる。でも、新しく制作する書籍はそうは行きません。例えば校正にしても、紙のゲラを動かすよりはネットを使ってPDFでやりとりする方が圧倒的に効率的です。そのためにはPDFに埋め込めるフォントが必要になる。つまり作業効率の点で見ると、古い環境のまま仕事をするということは、すでにマイナス面の方が大きいと言えます」

そこで両氏は、かつてDTP専門誌の編集に携わった経験から、作業効率を向上させるためには制作環境を整備することが先決であると判断し、まずは Mac OS Xが動作するマシンを導入。さらにレイアウトソフトをAdobe InDesignに切り替え、モリサワパスポートを導入することによって、最新のOTFをそろえた。
「業界的には、新しい環境が普及されてない状況にあると思います。環境を一新させるためには、なにかしら大きな外的要因が必要となるわけですが、現在は、ちょうどOS 9からOS Xの切り替え時期にさしかかっている。マシンを切り替えるタイミングとしては、絶好の機会でした。また、OSを切り換えることによって、フォントも切り替える必要も出てきます。そこにモリサワパスポートが登場した意味は非常に大きいと思います」
これまで新しいフォントがリリースされるたびに追加購入してきたが、今後はその必要がなくなったことで安心感を得ることができたと小林氏は語ってくれた。

フォント環境を統一させることで作業効率が向上

しかし、編集部内の環境は整ったものの、編集部だけが最新のシステムを導入しても生産性の向上には繋がらない。
二人の編集部員で年間単位で組み込まれている出版スケジュールを効率よくこなすためには、外部プロダクションとの協力関係が欠かせないからだ。
「出版物は出版社のみで制作するのではなく、編集プロダクションや著者、印刷会社などのチームで行うものです。したがって、双方が効率よく仕事が進められる環境を整える必要があります」

これまでデザイナーから指示されたフォントを印刷会社が持たない場合、別途にフォントを購入してもらう必要があった。あまり一般的でない書体は購入を頼みづらく、利用をあきらめたこともあると言う。
「たとえ一度しか使わないフォントであっても、「表現」という点から利用しなければならない場合もあります。ところが自社だけならともかく、関係各社に購入してくださいとはなかなか言えない状況でした。しかし、モリサワパスポートがリリースされたことによって、周囲の人達に導入を勧めやすくなりました」

さっそく編集部でも付き合いのある、印刷会社、デザイナーにモリサワパスポートの導入をすすめ、一斉にモリサワパスポートを導入することによってフォント環境が統一された。結果として意志の疎通がしやすくなったことで、生産効率の向上に成功する。全体のワークフローを向上させるためには、外部の発注先も含めた環境の改善が必要であるということをあらためて感じたそうだ。

毎日コミュニケーションズでは、プロのデザイナーに向けた書籍やムックを刊行している。
したがって、文字などのデザインに対するこだわりもさることながら、生産性や作業効率といった、総合的なデザイン環境の構築を目指している。

リッチに改善された日本のDTP環境

これまで日本のDTP環境を見届けてきた小木氏は、現在の日本におけるDTPの状況を次のように語る。
「日本語DTPの創成期では、書体数も少なく、価格そのものが高かったためにフォントが固定資産のように扱われてきました。

外字フォントに関しても、購入すればそれだけ資金が必要となるため、フォントグラファーを利用して必要な外字のみを作成するなどの工夫が必要でした。しかし、OTFやモリサワパスポートの出現によって、これらの問題が解決し、設備投資の一環として気軽に導入することができるようになったのは、各方面に大きな影響を与えたと思います。これからのデザイナーは、このリッチな環境を存分に活用して、質の向上を目指して欲しいですね」

また、小木氏はモリサワパスポートがフォントのスタンダードとして普及することで出力トラブルそのものが減り、今後は業界全体で生産性の向上が見込まれるのではないかと推測しているそうだ。

6月29日には同社からデザイン&グラフィックスの専門誌として「+DESIGNING」が発刊された。デザイン面のスキルだけでなく、プロデザイナーにとって重要な生産性や作業効率なども追求する内容になっている。

最先端の情報を提供する立場から、これからも様々なソリューションを積極的に導入し、デザイナーをクリエイティビティ(創造)な部分とプロダクティビティ(生産)の両面からサポートしていきたいと抱負を語ってくれた。