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三井住友アセットマネジメント株式会社

お客様への運用責任を目に見える形に
情報のユニバーサルデザイン化に取り組み
その一環としてUD書体を採用

三井住友アセットマネジメント株式会社
  • 三井住友アセットマネジメント株式会社 ディスクロージャー部 ドキュメンテーション課

    土屋 裕子 氏

  • 三井住友アセットマネジメント株式会社 ディスクロージャー部 ドキュメンテーション課

    岡本 薫 氏 

  • 三井住友アセットマネジメント株式会社 ディスクロージャー部 ドキュメンテーション課

    歌田 明佳 氏

国内トップクラスの資産運用会社、三井住友アセットマネジメント株式会社。
取り扱う金融商品は200を数え、その内容も多岐に渡る。「運用責任を全うする」という企業姿勢のもと、ユニバーサルデザインによるわかりやすい資料作成を推進し、UD書体を採用している。

企業姿勢を示す 情報のユニバーサルデザイン化

今回お話を伺った株式会社三井住友アセットマネジメント 土屋氏、岡本氏、歌田氏の三名は、投資信託など金融商品に関する法定開示書類を作成する、ディスクロージャー部 ドキュメンテーション課に所属している。資料にユニバーサルデザイン(UD)を取り入れたいきさつについて、土屋氏は次のように話す。

「今年、当社は『フィデューシャリー・デューティー宣言』と、その具体的な取り組み『フィデューシャリー・アクションプラン』を発表しました。これは、お客様の資産を運用する企業として、運用責任を全うする姿勢を宣言したものです。社をあげた取り組みの中、ドキュメンテーション課では、投資を検討される方に向けた『交付目論見書』と、購入いただいたお客様へお届けする『運用報告書』のUD化を推進しています。細かい数字や文字の多い資料ですが、どれも重要な情報ばかり。すこしでも読みやすい紙面にすることが、投資されるお客様の安心に繋がると考え、改善に取り組むことにしました」(土屋氏)

改訂された投資信託説明書(交付目論見書)

印刷会社へのアンケートを実施

取り組みを始めるにあたり、 これまで取引のあった複数の印刷会社にアンケートを実施したという。

「ユニバーサルデザインの概要は知っていたものの、実務的な経験は無かったため、作成を依頼してきた複数の印刷会社にアンケート形式で協力をお願いしました。ノウハウや実績の有無、どのような書体を何種類くらい使っているか。さまざまなご回答をいただきましたが、ほぼ全ての会社がモリサワパスポートを利用していたため、フォントはモリサワのUD書体を採用しました」(土屋氏)

さらに、ドキュメンテーション課の担当者自らが、検定を受けたりセミナーを受講するなど、UDの知識を身につけた。

「印刷物のUD化には、書体の他にもレイアウトや組版、カラーなど総合的な視点が求められます。例えば、この『運用報告書』を、レイアウトは同じままUD書体に置き換えたら、かえって読み辛いという意見がありました。UD書体は字体が大きく設計されているので、単純に文字を置き換えただけでは行間が詰まって見えてしまうんですね。多くの人が見やすい書類を企画する上で、知識があるのとないのでは大きな差だと思います。」(岡本氏)

実際にDTP作業をするわけではないが、これらの知識が主体的な作成進行に大きく影響したという。

「この『交付目論見書』は、 異なる印刷会社で複数の作成が進行するため、印刷会社と協力してデザインマニュアルを作成し、各社に配布しました。タイトル・本文の書体や級数、カラーなどをルール化することによって、的確な指示ができました」(歌田氏)

マニュアル作成の際には、実際にモリサワのUD書体を購入し、シミュレーションしたそうだ。

UD FONTマークで取り組みをアピール

交付運用報告書に記載されたUD FONTマーク

今回改訂された資料には、全てにUD FONTマーク*が表示されている。

「 UD書体を使っていることが、多くのお客様に伝わるようにとの思いから記載しています。マークがあることによって、 UD書体を知らないお客様へもアピールできると考えています」(岡本氏)

「UDの認証制度はいくつかありますが、事前の申請が必要で、半年に一度改訂される200の商品をその都度申請するのは現実的ではありません。UD FONTマークなら手続不要で、紙面の一部にUD書体を利用すれば掲載できます。定期的に刷新していくパンフレットでも、継続して利用できる点がいいですね」(土屋氏)

*UD FONTマークについて詳しい内容はこちらをご覧ください。

ビジネス文書にUD書体を

三井住友アセットマネジメント ディスクロージャー部ドキュメンテーション課の皆さま

こうして出来た新しい資料は、社内外で高い評価を得たという。

「『フィデューシャリー・アクションプラン』の実行状況を確認する第三者委員会から、資料だけではなく取り組みそのものにもお褒めの言葉をいただきました。社内の他部署からも、見やすくなった、デザインが洗練されたなどの声がありました」(土屋氏)

「お客様への配布は始まったばかり(2015年12月時点)なので、これからどのような反響があるか楽しみです」(岡本氏)

 

書体を変える事が、より多くの人に読みやすく、わかりやすい紙面作りのポイントになる。そういった意識が一般企業にも広がるつつあるのを実感する。UD書体は、今後ますます多くの人や企業に注目されそうだ。

最後に、こんなお話しをいただいた。

「今回ご紹介した資料は印刷会社に発注・印刷したものですが、このほかにも社内で作成するお客様への書類はたくさんあります。普段のビジネス文書にもUD書体を使いたいけれど、受け取る側のフォント環境を考えると難しい。将来的には、UD書体を手軽に利用できるようになることを期待しています」

プロ用だけではなく、誰もが使える、インフラとしてのUD書体がほしい—。

大きな宿題をもらい、今回のインタビューは終了した。

 

 

  • ※2016年2月時点での事例です。掲載内容は予告なく変更する場合があります。