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奈良県教育委員会 奈良県立教育研究所

ユニバーサルデザインフォントを採用し、
書体にこだわる教育実践を通して
生徒と先生の「伝える力」を高める

奈良県教育委員会 奈良県立教育研究所
  • 奈良県教育委員会 奈良県立教育研究所 研究開発部 ICT教育係 係長

    小﨑誠二 氏

ICT活用エバンジェリスト育成研修を数年に渡り実施し、さまざまな最新の情報を取り入れた先進的な教員研修を企画して、県内の教育の質を向上させるプロジェクトを実践している奈良県教育委員会。

県全体のユニバーサルデザインフォント(以下、UDフォント)活用することを目指す取組みが2017年度末より始まった。学校教育にUDフォントを取り入れる意義、目指すビジョンを伺った。

UDフォントは、良い悪いではなく、必要不可欠

奈良県教育委員会
奈良県立教育研究所
研究開発部 ICT教育係 係長

小﨑誠二 氏

「学校の先生方には、UDフォントはあまり知られていないと思います」と話すのは、奈良県立教育研究所 係長 小﨑誠二氏。

先生がプリントなどを作成するときに、明朝体やゴシック体を選ぶ機会はありますが、書体によって、見やすさ・読みやすさが変わることを意識していることはほぼありません。

UD(ユニバーサルデザイン)がついている書体があるということを知ることから、教育に携わるすべての人の意識を変えていきたいです。

 

私とUDフォントの出会いは、高校入試担当のときでした。

ある中学校の先生から、文字の読み書きに困難さがある生徒がいるので、入試で配慮してほしいという相談がありました。出来るか考えたり調べたりして行く中で、世の中にはさまざまな配慮があることを知り、その一つが「書体」でした。その子は「明朝体では読めない。UDフォントなら読める。」と、言いました。

私はそこで初めて、人によって読みやすい書体・読みにくい書体があることを知りました。

 

その後、モリサワのUDフォントを教育の現場に広く活用出来ないものだろうかと思いました。UDフォントは、良いとか悪いではなく、必要不可欠な書体ではないかと考え、教育委員会としての契約締結をすすめました。

私は、まずは、先生がいろいろな場面で使いこなすこと。そして子どもたちにも使ってもらいたい、と考えています。

学校単位で購入するのではなく、教育委員会レベルで契約し、誰でも必要なときに使える環境を整えることが大切であると感じています。

使える環境さえ用意すれば、学級通信や保健だよりなどにUDフォントが使われるでしょう。自然に「なんか読みやすい」「わかりやすい」という実感をもってもらえると思います。

 

子どもやディスレクシアだからとか、お年寄りだからとかではなく、日常のなかで、ものを理解する、わかりやすくするといった「伝える力」の向上につながっていくはずです。

研修で普及させる

2018年3月、奈良県香芝高等学校 アクティブラーニング室にて、平成29年度 ICT活用教育エバンジェリスト育成研修「美しくわかりやすく伝えるテクニックを身に付けよう!」が実施された。

モリサワの講師から、教員にレイアウトやフォント使いのノウハウを伝え、それぞれの学校でそれを伝達し、県全体の取組みとして広げていこうという試みである。

約3時間のワークショップを受講した教員は、書体の力の存在に気付き、早速、学校での活用したときの効果をイメージして期待に心膨らませていた。

 

参加した教員の声
・UDフォントに出会えたことは、本当に嬉しいです。
・誰にとっても、見やすいフォントがあるのだ、と気づきました。
 見やすい書体がどういう文字かがわかったので、板書にも活かせそうです。
・フォントによって、見え方がこんなに変わるのかと実感出来ました。
・UDフォントは学校現場だけでなく、もっと広く活用すべきだと感じました。
・授業でプロジェクターを使う機会がたくさんあり、
 後ろの生徒から見えにくいと言われていました。
 今日学んだUDフォントと伝わるレイアウトで、すぐに実践してみたいです。
 また私が使うだけでなく、生徒が作るデータでも活用させてあげたいです。
・書体の持っている力はすごい!書体のせいで伝えたいことが伝わらないことがあるとは…

など多数

奈良県香芝高等学校でのICT活用教育エバンジェリスト育成研修の様子

 

「学年通信でUDフォントを使っています。生徒はすぐに書体が変わったことに気づき、読みやすいと言ってくれました。子供達には、読みにくいと感じさせない環境づくりをしていきたいです」と語るのは、研修の会場校に勤務している香芝高等学校の川下優一先生。

香芝高等学校ではいち早くUDフォントを活用した取組みを初めている。

学年末テストで、UD書体を使ったテストにリニューアルをした。すると、「変わった!読みやすくなった!」とすぐに、反応があったという。

「文字を読みにくいと感じている生徒たちに、早くUDフォントでのテストを受けさせてあげたい」と、熱く語ってくれた。

 

最後に小﨑氏は、研修後改めてこう話してくれた。

「教育の世界で、わかりやすい、見やすい、ということは『理解出来る』につながり、それは学力向上につながると思います。誰でもすぐに出来る良いことは、早く進めていくべきですね」

  • ※2018年4月時点での事例です。掲載内容は予告なく変更する場合があります。