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富士通株式会社

ビジュアルアイデンティティとの
親和性を考慮
新コーポレートフォントに
UD新ゴを採用し
変革に向けて力強くメッセージを発信

富士通株式会社
  • 富士通株式会社 グローバルマーケティング本部 コーポレートマーケティング統括部 ブランド戦略部 シニアマネージャー

    高橋 将 氏

  • 富士通株式会社 グローバルマーケティング本部 コーポレートマーケティング統括部 ブランドマネジメント部

    福武 克幸 氏

  • 富士通株式会社 グローバルマーケティング本部 コーポレートマーケティング統括部 ブランド戦略部

    土屋 由美 氏

富士通株式会社は2020年に新たにパーパスを設定し、持続可能な未来を視野に大きく舵を切った。その一環としてブランドリフレッシュを目的にビジュアルアイデンティティを全面的に刷新。 グローバルな視点でコーポレートフォントの再構築が進み、和文フォントには「UD新ゴ」が採用された。導入までの経緯などをグローバルマーケティング本部の担当者に伺った。

富士通株式会社
グローバルマーケティング本部 コーポレートマーケティング統括部
ブランドマネジメント部 福武克幸氏(左)
ブランド戦略部 シニアマネージャー 高橋将氏(中央)
ブランド戦略部 土屋由美氏(右)

持続可能な未来を視野に貢献していく

ICT*1の分野で日本をリードしてきた富士通株式会社(以下、富士通)は、DX*2を柱に、トップダウンによる企業変革に取り組んでいる。あらゆる産業で破壊的なイノベーターが登場するなど、産業構造やビジネスモデルがかつてないスピードで変化しているいま、デジタル時代の競争力の強化を目的に、顧客のDXのパートナーとしてデジタルテクノロジーを活用した社会課題の解決に貢献していく構えだ。

その根底をなすパーパス*3も2020年に設定した。いわく「わたしたちのパーパスは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことです」。従来のブランドプロミス「shaping tomorrow with you」が象徴するように、これまでは顧客起点で技術やテクノロジーを提供してきた富士通だが、今後は、より能動的な姿勢で持続可能な未来を視野に、ステークホルダーに貢献していく方針だ。具体的な動きも進んでいる。パーパスの実現を目指す新事業ブランド「Fujitsu  Uvance(フジツウ ユーバンス)」を策定し、代表取締役社長の時田隆仁氏が自ら、オンラインイベント「Fujitsu ActivateNow 2021」で7つの重点注力分野を発表。新しいビジュアルアイデンティティを公開した。そこで使用されているのが、新コーポレートフォントだ。

「富士通グループ総合レポート2021」より抜粋。和文フォントはUD新ゴが使用されている。

無限を象徴するインフィニティマークが基点に

顧客とのあらゆるタッチポイントに影響するという点で、ビジュアルアイデンティティの設定は、ブランディングの重要な課題だ。またグローバルでの展開が前提であることから、海外拠点とのチーム横断的な取組みも求められた。議論のスタート地点は、「富士通が長年、DNAとして大切にしてきたインフィニティマーク」だったと高橋氏は話す。インフィニティマークは、富士通のシンボルボルマークの「J」と「I」の上部にあしらわれた無限マークを指す。1989年に制定されたもので、無限の可能性を表現している。
「無限を象徴するインフィニティマークは、持続可能な社会にしていこうという、私たちの姿勢とも親和性が高く、ビジュアルアイデンティティの要素を検討する際にも基点になりました。またDNAとして継続して使用したいという社内の多くの声がありました」(高橋氏)

インフィニティマークは、力強い印象を与えるために、やや太めの形状にアレンジ。カラフルな色調でも表現できる仕様に変更された。議論の過程では、あえてフォントを変えず「リユースするのもサステナブルなのではないか」といった意見も社内から上がった。ただ、会社の印象を刷新したいと考える経営陣の意思が勝り、フォントの具体的な検討に進む。「新しいビジュアルアイデンティティのルック&フィールの世界観をフォントでも表現したかった」と土屋氏はフォント開発へのきっかけを語る。まずは、欧文フォントの見直しが図られた。

「これまで使ってきた欧文フォントは、2010年頃に開発したもので、スタイリッシュな印象を持ち、細くてやや縦長なフォルムが特徴でした。新しいインフィニティマークの太めの線による円とはタイプがだいぶ異なります。加えて、デジタル上で見づらいと海外拠点からの声もあり、紙からデジタルデバイスにコンテンツがシフトする状況に合っていない点が課題にありました」(土屋氏)

新しい欧文フォントは、インフィニティマークと相性や同じ太さで均等に見えるフォントはどれか、力強い印象を与えているかといった評価視点で、欧州にいるチームメンバーが選出した。ダイバーシティ*4を大切にする企業姿勢に沿ってアクセシビリティ*5やディスレクシア*6への配慮に拘り、選出した既存フォントの全体の25%程度に修正を加え「Fujitsu Infinity Pro(フジツウ インフィニティプロ)」というオリジナルフォントに仕立て上げた。例えば、フォルムが似ているため、誤って判読する可能性がある「a」と「o」、「i」と「j」、「Q」と「O」については違いが分かりやすくなるように変化を加えた。「p」と「q」、「b」と「d」のような鏡文字になりやすい字は、見間違われないよう左右非対称の形状にした。文字間のピッチも若干広めに取り、できるだけ多くの方に読みやすいフォントを心掛けた。

アクセシビリティやディスレクシアへ配慮した部分

実績とエビデンスから「UD新ゴ」を評価

和文フォントは従来、モリサワの新ゴを用いてきた。欧文フォントの変更に伴い、こちらもゼロベースで検討することになった。
選定の基準に3つの点が挙げられた。まずは新しい欧文フォント「Fujitsu Infinity Pro(フジツウ インフィニティプロ)」と組み合わせて使って違和感がないこと。2つ目は、公共交通機関や他社製品などで幅広い分野で使用された実績があること。3つ目は、大学や研究機関など第三者との研究で、評価やエビデンスを得ていることだ。4つほどの候補に絞られ、その中で選定していったという。

欧文フォントと候補となる和文フォントを組み合わせた文章を用意し、シミュレーション画像を制作して検討を行なった結果、モリサワの「UD新ゴ」に決定した。「首都圏を運行するバスの車内インフォメーションや一般用医薬品のパッケージと説明文書などでも用いられている点、それから慶應義塾大学の心理学教室、中野泰志教授によるUD書体の比較研究による結果を評価しました。もちろん、欧文フォントやインフィニティマークとの親和性の高さも選考のポイントです」と土屋氏は話す。 

和文と欧文のフォントの組み合わせに課題

企業がブランディング上、コーポレートフォントを使用する対象は多岐に渡る。富士通においては、コーポレートレベルのレポートや報告書や 広告、投資家向け資料、カタログといった広範囲な訴求物はもとより、 イベントのチラシなど限定的なものも数多い。素早く提供すべき資料では、現場の社員が自ら作ることも頻繁に行われている。

その際に、課題となるのがクオリティの維持。欧文と和文の異なるフォントを同じポイント数で組み合わせて並べると、太さやサイズが異なって見えるため違和感が生じる。「グラフィックデザイナーがアドビのアプリケーションを使って適宜微調整を行えば解決できますが手間もかかります。また、マイクロソフトのアプリケーションで制作することもありますが、その場合はフォントの微調整ができない」と福武氏は語る。

羽田空港で展開するデジタルサイネージ広告映像の一部

富士通グループでは2011年に、独自の欧文フォントと新ゴを最適に組み合わせた社内向けの合成フォントをモリサワが制作しコーポレートフォントとして導入している。カタログやチラシなどの制作を担当する社員を中心にライセンスを配布し使用している。
「前回のコーポレートフォントでは、組み合わせて使った際に違和感のないよう、ベースラインやポイント数の調整がされているので、アプリケーション上で細かい設定をしなくてもそのまま使え、非常に助かっています。 」(福武氏)

従来は紙で配布していた情報がPCやタブレット、スマートフォンなどデジタルデバイスで閲覧することを想定したコンテンツ制作となってきており、制作の形態や提供までのスピードも変化している。同時に、マルチデバイスにおける視認性の配慮も必要だ。最新の富士通グループ統合レポート2021は、従来A4縦で制作されてきたが、ディスプレイでの閲覧を基本にA4横のPDFを作成し、場合によって印刷もできる仕様で制作を行なった。羽田空港で展開するデジタルサイネージ広告では、縦型のスクリーンに映像(ビジュアル)とロゴやキャッチコピー(文字)を見せる構成としている。今回採用したコーポレートフォントは遠くからでもはっきりと読みやすく、力強くメッセージを伝える効果が発揮されている。

カラフルで力強い印象で海外から高い反応

4色展開のカラフルな名刺は、使用者が色を選択する

今後、2年程度の移行期間のイメージで、ビジュアルアイデンティティ全体の統一を図っていく考えだ。今回の企業ブランディングのプロジェクトは、グローバルな動きで海外拠点の意向を色濃く反映した点もあり、海外スタッフからの反応の高さが特徴的だ。

「これまでは白ベースで赤色基調、線も細くスタイリッシュで、洗練されているものの控えめなイメージですが、今回はカラフルで太さがあり、力強い印象を前面に出したことで、かなり攻めている見せ方になっています。こうしたビジュアルが海外でフィットして、むしろ日本拠点ではその反応に刺激を受けているようです」(高橋氏)

新コーポレートフォントの活用について語る高橋氏(中央)

多様性を重視し、サステナブルな社会の実現をリードしたい。富士通のこうした意思を力強く発信し、しかも誰にでも分かりやすく実感してもらううえで、フォントの果たす役割は大きいと土屋氏は話す。「目に飛び込んできて内容を理解するために必須な要素だからこそ、幅広い方からの見え方を意識してフォントを選定しました。使用し始めて、選定前に期待していたことが達成できていると感じています。私たちの提供する新たなフォントを社内でしっかり認知し浸透させ、あらゆるステークホルダーとのタッチポイントにおける円滑なコミュニケーションに広げていきたいと考えています」と自信をのぞかせる。

  • *1 ICT:Information and Communication Technology 。情報技術にコミュニケーションをプラスすることで、コンピュータやデータ通信に関する技術だけではなく、その技術を使って情報や知識の共有をしたり、伝達をしたりすることに重きを置いた言葉
  • *2 DX:Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション。AI、IoT、クラウド、5Gなどの先進テクノロジーとデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらすもの。
  • *3 パーパス:企業の存在意義や果たすべき役割のこと。
  • *4 ダイバーシティ:人種や性別、ライフスタイルの違いなどを包括した人材の多様性。
  • *5 アクセシビリティ:障がいのある人を含め、誰にでも利用しやすい設計であること。
  • *6 ディスレクシア:文字の読み書きに困難さを抱える症状。
  • ※掲載されている情報は2022年1月時点のものです