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CJ FOODS JAPAN株式会社


パッケージや広告デザインの
自由度が上がった!
ブランドの世界観を表現する
135文字のオリジナルフォント

CJ FOODS JAPAN株式会社
  • CJ FOODS JAPAN株式会社 マーケティング部 デザイン課 係長

    曺 永信氏

  • マーケティング部 Michoグループ 係長

    池田 惠美子氏

韓国食品事業を展開するCJ FOODS JAPANのビネガードリンクブランド「美酢(ミチョ)」は、リブランディングプロジェクトの一環としてクリエイティブデザインを刷新し、2022年にオリジナルフォント「CJ MICHO」をモリサワと共同開発した。同社にとって初となるオリジナルフォントの制作過程、フォントの要件などについて、マーケティング部の担当者に伺った。

日本進出から10年を機にリブランディングのプロジェクトを始動

美酢は「100%果実発酵酢から作ったビネガードリンク」という、従来のお酢飲料とは全く異なるコンセプトで2011年に日本市場に進出した。それまで「味は二の次で、健康のために我慢して飲む」ものであり、中高年の男性が主な購買層だったお酢飲料のイメージを覆し、健康や美容を意識する若い女性を中心に支持を拡大。販路の多様化や積極的なマーケティング活動も、美酢ブランドの認知向上につながっている。

CJ FOODS JAPANは、日本で美酢の販売を開始してから10年が経過したのを機に、リブランディングのプロジェクトを始動。ターゲットである若年層に、身近さや美容面のベネフィットをさらに訴求するため、クリエイティブを刷新することになった。「改革というと大げさですが、今の時代に即したベストなデザインにしていこうという趣旨です」と、美酢のパッケージ、広告などのデザインを手掛けるマーケティング部 デザイン課係長の曺氏は語る。これまではデザインに既存のフォントを使用したり、またそれに既存のフォントをベースに作字した文字を組み合わせて使用したりしていたという。

韓国の本社(CJ第一製糖)が展開するナショナルブランドやグローバルブランドの多くは独自フォントを持ち、一貫性のある世界観を生み出している。CJ FOODS JAPANでは初の試みとなるが、美酢ブランドのオリジナルフォント開発は、プロジェクトの重要な柱として位置付けられた。

使用頻度が高い135文字をオリジナルフォントとして開発

共に開発を進める相手にモリサワを選んだのは、様々な雰囲気を持つフォント制作の実績があり、美酢ブランドにもっとも合うフォントの制作が期待できること、デザイン面のサポートの手厚さが大きな理由だった。「私もデザイナーですが、フォントデザインに関しては専門外です。要望を出したとしてもどこまでできるか、そもそも実現可能な要望なのか分からない部分もありました。しかし、モリサワさんは最初のご提案時から専門のフォントデザイナーさんが同席されていて、細かい要望や質問にもすぐに対応していただけたので、非常に安心感がありました」(曺氏)

マーケティング部 デザイン課 係長 曺永信(ジョ ヨンシン)氏

曺氏が挙げた要件は、ブランドのシンボリズムが発揮されているか(象徴性)、小さな文字であっても可読性を保てるか(視認性)、印刷方法やデバイスを問わず、美しく表現できるか(汎用性)の3点。これを踏まえ、商品パッケージや広告、販促物での使用頻度が高い漢字・ひらがな・カタカナと記号の計135文字を、オリジナルフォントとして開発することになった。

視覚的な資料の活用でフォントイメージをつかみやすく

象徴性の部分について、「優しくカジュアルなこれまでの美酢の世界観は守りながらも、現代的なフレッシュさや活気をプラスしたかった」と曺氏は振り返る。フォントはコンマ数ミリの違いであっても文字を並べたときの印象が大きく変わり、抽象的な「イメージ」を具現化する難しさもそこにある。

「モリサワさんにデザインイメージとウエイトを4パターンずつ提案していただいたのですが、わずかな違いでも雰囲気が大きく変わるので、その繊細なニュアンスを楽しみながら選ぶことができました。さらに、パッケージに採用した場合どう見えるかをサンプルとして付けていただいたので、文字単体で見るよりも視覚的にイメージしやすく、非常に助かりました」(曺氏)。

135文字からなるオリジナルフォント「CJ MICHO」。しずくマークと2種類の音引きが用意されている。
「しずく」と入力し漢字変換すると、オリジナルマークが登場。文字として扱うため級数でサイズ変更できるほか、色も自由に変えられる。

ロゴとしても使用する漢字の「美酢」は、これまで親しまれてきたイメージを守るために従来の字形から大きな変更を加えていない。一方、ひらがなとカタカナは全体に丸みを持たせ、ふところを広く、重心は低く設計することで、可愛らしく親しみやすい印象となった。曺氏は「カタカナはロゴに入れる『ミチョ』のほか、フレーバー名などパッケージで小さく表示するケースもあります。今回は1種類のウエイトで依頼したのですが、印刷しても小さく使っても文字がつぶれず、かつきちんと読める太さなので、汎用性も高いと思います」と評価する。

「要件の3点をクリアしている上、フォントの完成度も高い。弊社のチームメンバーは、完成したフォントをとても気に入っています。可愛さだけでなく、美酢ブランド特有の感性までも表現できていると思っています」(曺氏)。

消費者と美酢をつなぐ「ミチョフォント」

チームメンバーが「ミチョフォント」と呼ぶ新フォント「CJ MICHO」は、すでにテレビCMに採用され、今後、ロゴや商品パッケージにも採用される。本格的な展開はこれからだが、オフラインの店舗販促物からウェブ広告、デジタルサイネージに至るまで幅広く活用する予定だ。

美酢ブランドのプロモーションを担当するマーケティング部 Michoグループの池田氏は「ミチョフォントの完成で、パッケージデザインの自由度が広がった」と笑顔を見せる。「身近にあって気軽に楽しめるカジュアルさや、時代に合った新しいフレーバーや商品で消費者を飽きさせないところ、果物の美味しさやカラフルな色合いを表現したワクワクするデザイン。これらは美酢ブランドのアイデンティティーであり、われわれがもっとも大切にしているものでもあります。例えば、商品は最初900mLの希釈タイプのみの展開でしたが、健康・美容への関心の高まりや食生活の多様化に合わせて、2018年からはストレートタイプを始め、ゼリー飲料、アルコール飲料、アイスなど商品ラインナップを充実させています。商品の種類によって少しずつ雰囲気も変わるのですが、ミチョフォントを使用することによって、通底する世界観が表現できることを期待しております」(池田氏)。

マーケティング部 Michoグループ 係長 池田惠美子氏

また、ブランドサイトやSNSでは、美酢の魅力を発信したり、美酢を使ったアレンジレシピを提案したりと、積極的に消費者との接点づくりを行っている。「習慣のひとつとして美酢を飲む、というような、消費者に日常的に親しまれる商品を目指しています」(池田氏)。美酢ブランドのさらなる成長に注目していきたい。