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アーティサン株式会社


運行状況を見える化する
『バス予報』が利用者の不安を解消
運行情報を表示するサイネージには
UD新ゴを導入し見やすさを追求

アーティサン株式会社
  • 館林市 総務部 安全安心課 交通防犯係 主任

    柴田 佳緯氏

  • アーティサン株式会社 サービス開発事業部 運用班

    松尾 聡彦氏

バスの現在位置や到着時刻をタイムリーに把握できるバスロケーションシステム(バスロケ)は、道路状況や天候の影響を受けやすいバスの課題を解決する方策として導入が進んでいる。アーティサン株式会社が開発したバスロケ『バス予報』は、クラウドの活用によって設置の容易さと低コストを実現し、支持を集めている。

同社のこだわりは「誰もが見やすく、使いやすい」サービスの提供。2019年に『バス予報』の運用を開始した館林市では、運行情報をデジタルサイネージにも反映し、画面表示にはモリサワの「UD新ゴ」を採用した。館林市の柴田氏、そして本件を担当したアーティサン株式会社サービス開発事業部 運用班の松尾氏に、『バス予報』導入の経緯やサービスへの思いを伺った。

低価格・短納期のシステムでバス利用者の「いつ来る」「いまどこ」に対応

館林市は隣接する4町と共同で広域の公共路線バス(館林市外四町広域公共路線バス、以下路線バス)を運営しており、館林駅をターミナルに11路線が地域の足を担っている。バス利用を促進すべくサービス面の向上に取り組んでいたが、利用者からの運行状況の問い合わせに、リアルタイムで対応できないことが慢性的な課題だったという。

館林市総務部安全安心課の柴田佳緯氏が担当に就いた2016年時、路線バスにはバスロケはおろか無線もなく、運行状況は携帯電話で確認するほかなかった。
「乗務中の運転士に電話するわけにもいかず、停車まで待っていると回答が遅れてしまう。バスはいつ来るのか、いまどのあたりにいるのかと不安になっているお客様に、すぐ対応できないジレンマを長い間抱えていました」(柴田氏)。

館林市が隣接する4町と共同で運営する館林市外四町広域公共路線バス

バスロケの導入は検討していたものの、当時一般的だった、車両にGPS装置を取り付けるシステムは高額で手間もかかり、費用対効果の点から見送らざるを得なかった。そうした状況下で柴田氏は、アーティサン株式会社の小山才喜社長から『バス予報』の提案を受ける。

『バス予報』は、GPS位置情報の取得にスマートフォンを活用することで大幅なコストダウンを実現し、また工事不要で設置が容易なため、短納期でバスロケを始めることができる。さらに、シンプルでわかりやすい仕様と、アプリをインストールしなくてもWebブラウザ上で利用できる手軽さも特長だ。

柴田氏は「まさにわれわれの望んでいたサービスと費用で、本当に運がよかった」と振り返る。2018年12月から2019年3月までの実証実験を経て、翌4月から実運用をスタートした。

「バスの現在地や運行状況はもちろん、遅延や臨時運休など、いち早く通知したい情報をトップ画面に表示でき、助かっています。これまでこうしたお知らせは市のホームページに掲載するしかなく、しかも原稿を作ってアップするまでに数時間を要していたので、リアルタイムの情報を発信できるようになったのは大きい」(柴田氏)。

館林市 総務部 安全安心課 交通防犯係 主任 柴田佳緯氏

利用者の利便性が大幅に向上したことで問い合わせの数自体が減少し、問い合わせがあった際にも、全路線の運行状況を確認できる運行管理画面から、正確で迅速な回答ができるようになったという。

また、管理者側にとって非常に有用なのが「分析機能」だ。これは柴田氏の依頼で開発された。「遅延状況を把握するために、これまで蓄積した運行実績データを集計する機能が欲しい、とお願いしました。これがものすごく便利で。この便は平均で何分遅れる、といったことがわかるので、ダイヤ編成に活用して、バスの定時性が格段に上がりました」と高く評価する。現在は『バス予報』の標準機能となっている。

発車案内のサイネージにWebフォントの「UD新ゴ」を導入

館林市は現在、1市4町で策定した地域公共交通計画に基づき、複数の交通手段をつなぐ「交通結節点」の機能強化を進めている。バス利用者の待合環境の充実はその一環だ。鉄道と路線バスの結節点となる館林駅の改札前に『バス予報』と連携したデジタルサイネージを設置し、鉄道からの乗り継ぎ客に向けて発車案内を掲示している。

「館林駅は西口にも東口にもバス乗り場があるので、改札を出てひと目で “行き先方面のバスがどちらから出発するか”がわかるようにしたかった」という柴田氏の要望どおり、出口を含め、乗り場、路線番号、経由地、発車時刻が一覧できるようになっている。

「UD新ゴ」をWebフォントで表示させた『バス予報』デジタルサイネージ

「多くの情報をどの順に表示すれば見やすいか、どこを経由地として表示すればわかりやすいかは地元の方が一番ご存知なので、柴田さんに相談しながら作りました」とシステム構築を担当したアーティサン株式会社の松尾聡彦氏は話す。フォントは「誰もが読みやすく、かつ見慣れている」点を重視して、鉄道でも多く採用されている「UD新ゴ」を導入した。

「Webフォントの実装はモリサワさんに提供していただいたAPIドキュメントを使用し、非常にスムーズにできました。視認性も高く、満足しています。バスのサイネージは数多く存在しますが、必ずしも見やすいものばかりではないんですね。とりわけこの点に問題意識を持っていた弊社の営業担当者の熱心な働きかけもあって、UDフォントの採用を決めました」(松尾氏)。営業担当であるアーティサン株式会社の数井氏は、提案書や資料のフォントが与える印象の違いに気づき、読みやすいフォントを追求した結果、他社との差別化を図ることができたのだという。『バス予報』の画面の見やすさや使い勝手に関するこだわりは、利用者第一を掲げる同社の理念に通じている。

ユーザー目線で「誰もが使いやすい」サービスを

「弊社はバスロケ業界では後発で、バスに関する知識がほとんどない状態からのスタートでした。ただ、ひとつ持っていたのは“1ユーザーとしての目線”。『バス予報』は、既存のバスロケが難しすぎて使えなかった、開発者の経験を元に立ち上げたサービスです。直感的に操作できる画面デザインや、誰が見ても読みやすい文字など、利用者の目線で本当に使いやすいサービスを追求しています」と松尾氏は続ける。バス事業の理解をより深めるため、運行管理者資格を取得したメンバーも数名いるという。画面デザインも2回ほど大きくリニューアルしブラッシュアップを図っているが、まだ改善する余地はあると考えている。

「『バス予報』画面にはモリサワの無償フォントのBIZ UDゴシックを使用しています。決して悪くはないのですが、ウエイトが限られるため、メニューごとのメリハリがつけづらい状態です。“誰もが使いやすい”というコンセプトからしても、将来的には管理者用の画面も含め、すべてのサービスにサイネージと同じ(有償版の)UD新ゴを採用し、ウエイト違いで使えるよう検討しています」(松尾氏)。

アーティサン株式会社 サービス開発事業部 運用班 松尾聡彦氏

現在は自治体を中心に実績を広げ、全国規模で導入が進んでいるが、バス業界のDX化はかなり遅れているという。

「バスロケ自体は非常に便利なものですが、UIやデザインが成熟していないために、使いづらい認識になってしまっている。私たちはそこを変えて、『バス予報』を“利用者にとってのNo.1バスロケ”にしたい、利用者の不安や不満を少しでも解消して、バスの利用促進につなげたいという強い思いがあります。そのために広く意見を取り入れたり、ユーザーテストを実施して改善点を探ったりと、今後も努力を続けていきます」と松尾氏は力強く語る。さらに進化した『バス予報』のサービスが、そう遠くないうちに見られるはずだ。

■バスロケーションシステム導入実績

新潟県見附市 埼玉県朝霞市 愛知県常滑市
株式会社タケヤ交通 茨城県土浦市 つちうらMaaS推進協議会
 岩手県交通株式会社  群馬県桐生市  愛知県大府市
 愛知県知多市  香川県三豊市  秋北バス株式会社
 岩手県北上市  岩手県花巻市  岩手県矢巾町
 鹿児島県霧島市  宮崎県都城市  群馬県館林市
 福岡県北九州市交通局  十和田観光株式会社  青森県十和田市
 神姫観光株式会社  アイルモータースクール株式会社  株式会社タカギ
 沖縄県沖縄市  沖縄県北中城村  岩手県滝沢市