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IGAS2022 モリサワブースレポート! ~その② セミナー編~

  

カテゴリ:文字・組版イベント

こんにちは。ヌッティです。
さて前回に引き続き、先日行われた『IGAS2022』のモリサワブースをレポートします。今回は「セミナー編」です。モリサワでは特別企画として「MojiTubeスタジオ」をブース内に開設し、文字や書体を中心にさまざまなセミナープログラムをご用意しました。一部、講演内容を抜粋して紹介します。

ちなみに「ブース編」のレポートは前回の記事に掲載しています。ぜひこちらの記事もご覧ください♪

1. IGAS2022 国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展

日本で4年ぶりに「IGAS2022」が開催されました。IGASは、プリプレス、プリメディア、印刷、製本、紙工、ラベル、パッケージング、クロスメディア関連の機材・技術・サービスを一堂に会した国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展です。最新鋭の機材・技術・サ―ビスを提案し、活発なビジネス交流の場を提供することにより、出展者様および来場者様双方のビジネス拡大に貢献する印刷産業界の総合的な一大イベントになります。


「IGAS2022」のテーマは、「Venture into the innovation!―新たなイノベーションへの挑戦―」です。昨今の印刷業界を取り巻く環境は厳しい状態ですが、危機こそ変革の最大のチャンスであり、未来へとつながるイノベーションに果敢に挑戦するという意味が込められています。そして、現地だけではなくオンライン配信にも注目し、見どころやイベントの紹介、トップインタビューなどを生配信する「IGAS LIVE TV」を新たな試みとして取り組みました。

 

・日程:2022年11月24日(木)~11月28日(月) 計5日間
・会場:東京ビッグサイト 東展示棟 1,2,3,5,6ホール
・来場者数:33,078人

※公式HPはこちら

2. 特別企画「MojiTubeスタジオ」

モリサワは特別企画として「MojiTubeスタジオ」をブース内に開設し、文字や書体を中心にさまざまなセミナープログラムを開催しました。昨今の情勢を考慮し、IGAS会場の直接参加だけではなく、ご来場されないお客様にも楽しんでいただけるよう、YouTube(事前登録制)のハイブリッド形式でライブ配信をしました。

プログラムでは、有限会社字游工房の書体設計士である鳥海 修氏より写研書体の開発プロジェクトについてご紹介したほか、ブランディングとデザインがテーマの「Font College Open Campus」、印刷産業のSDGsへの取り組みなど、5日間にわたり20のスペシャルプログラムをお届けしました。

開催されたプログラムにつきましてはアーカイブ動画をご視聴いただけます。

ご視聴いただく場合には下記よりお申込みください。

 

『MojiTubeスタジオセミナー』アーカイブ動画視聴お申し込み

 

MojiTubeスタジオの全体
MojiTubeスタジオの様子

 

そして今回はプログラムの中でも特に注目された「写研書体の開発プロジェクト “至誠通天” 受け継がれる石井書体」とMorisawa DTP Lab.とコラボ企画である「初心者必見!制作時に押さえておきたいデジタルフォント基本の「キ」」の講演の様子についてお届けします。

『写研書体の開発プロジェクト “至誠通天” 受け継がれる石井書体』

登壇者:有限会社字游工房 書体設計士 鳥海 修 氏
    有限会社字游工房 タイプデザイナー 伊藤 親雄 氏
    株式会社モリサワ タイプデザイナー 原野 佳純
    株式会社モリサワ ブランドコミュニケーション部 杉田 有悠子

先日、モリサワでは株式会社写研の代表的な書体である「石井明朝 ニュースタイル大がな・オールドスタイル大がな」「石井ゴシック」をOpenTypeフォントとして改刻し、2024年にリリースすることを発表しました。

 

モリサワ 写研書体を字游工房と共同開発 2024年に「石井明朝」「石井ゴシック」の改刻フォントをリリース

このプロジェクトは、石井書体を保有する写研と、モリサワおよびそのグループ会社である有限会社字游工房のタイプデザイナーが参加する、3社共同体制の取り組みになります。全体監修を務めるのは、写研出身であり現在は字游工房の書体設計士である鳥海 修 氏です。

本講演では写研書体のリリース情報や担当するデザイナーから、プロジェクトの進展とその開発にかける思いをお話しいただきました。モリサワと写研の関わりや本プロジェクトの協業背景から始まり、鳥海 修 氏より写研時代の思い出話を盛り込みながら写研書体について掘り下げ、その素晴らしさや新しい時代に残せる喜びなどを改めてお伝えいただきました。

 

配信されたMojiTube
左から杉田 有悠子(株式会社モリサワ)、伊藤 親雄 氏(有限会社字游工房)、鳥海 修 氏(有限会社字游工房)、原野 佳純(株式会社モリサワ)

後半は担当デザイナーから「石井明朝」「石井ゴシック」について開発の経緯や方針、具体的な改刻作業についてご紹介をしました。
「石井明朝」についてはウエイトによって、骨格やデザインのテイストが異なることもあり、完成度も高くユーザーからも広く人気を集めた書体「石井細明朝」をベースとして見直しを行っております。具体的には太さ、大きさ(字面)の調整、エレメントの整理などを行い、書体が持つ雰囲気や印象はできるだけ継承しながら、現代において、よりよい姿に生まれ変われるように開発を試みています。「石井ゴシック」についても同様にオリジナルの書体のよさを継承しながら改刻作業を進めています。

そして改刻した書体については10月からサービスを開始したクラウド型のフォントサービス「Morisawa Fonts」のスタンダードプランにてご提供予定です。
フォントの仕様などリリースの詳細や、その他の写研書体に関する開発プロジェクトは、決定次第お知らせしますので、今後の続報にご期待ください。

『初心者必見! 制作時に押さえておきたいデジタルフォント基本の「キ」』

 

登壇者:株式会社モリサワ 東京サポートセンター 千駄 榛菜

 

「Morisawa DTP Lab.」の「Lab.」に合わせて白衣を着用して講演しました!

この講演ではフォントを扱う上で基本となる知識から、制作における文字化け・文字ツメといった実践まで、仕事の中でつまずきがちなポイントを解説しました。

配信されたMojiTube

初心者にもわかりやすく、フォントフォーマットの変遷からフォントの表記名、利用の注意点など多岐にわたって現場で役に立つ情報をご紹介しました。特に文字詰め機能についての解説はこの講演を見て「理解できた!」という声もいただきました。

なお本講演で解説したデジタルフォントに関する内容は、本ブログの記事でもご紹介しています。詳しくは「IGAS連動企画:デジタルフォント基本の「キ」」の記事をご覧ください!

以上がIGAS2022についてのレポートとなります。
4年に1回の一大イベントということで将来の技術的な発見や、出展社およびお客様との関係を結びつける大事なイベントになったのではないでしょうか。また、コロナ禍の開催でもあり、現地に行けなかったという方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、今回はオンライン配信にも力をいれたので、今後の開催の形にも繋がったと思います。また4年後の開催を楽しみにしたいと思います!

そして今回の記事で2022年のブログは終わりになります。少し早いご挨拶になりますが、皆さまお体に気を付けてよいお年をお過ごしください。では次回の記事もお楽しみに!

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   モリサワ2022年新書体

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