株式会社マイナビ 社長室 広報部 広報1課 課長 渡邉裕子氏
公平性や信頼性を重視した
プレスリリースの書体選び
株式会社マイナビ 社長室
広報部 広報1課
課長 渡邉裕子氏
月に10本ほどのプレスリリースを配信しているというマイナビ広報部。 わかりやすく、かつ信頼性の高い情報を提供するために、文面はもちろん、フォントやレイアウトにもこだわっているのだそう。 実際に発行されたプレスリリースをお借りして、UDフォントにリ・デザインしたものを見てもらいました。
公平に、正確な情報を提供する
プレスリリース
マイナビ広報部では、サービスや調査など、月に10本ほどのプレスリリースを発行しているそうです。社内の各部署から来た情報を、1週間程度でシートにまとめ、Faxやメールでメディアに送付したり、Webサイトに掲載します。
今回はプレスリリースを実際に作成している広報部の渡邉氏にお話を伺いました。
「媒体の皆さんに公平に情報を提供するのが私たちの仕事です。プレスリリースを出す際に、特に気をつけているのは、真摯に事実を客観性を持ってお知らせすることです」
担当部署から来る情報には、伝えたいことや掲載してほしい内容が多く、それをわかりやすく端的にまとめるのが一番難しい作業なのだとか。
「一方的に情報を羅列したり、詳細を出しすぎてもかえってわかりづらくなってしまいます。また社内や担当者にとっては当たり前のことでも、初めて知る人には難しかったり、わかりにくいこともあります。情報を出す側の熱意はできるだけ尊重しつつ、客観性を持って判断し、短くわかりやすくなるよう心がけています」
今回サンプルとしてお借りしたのは、『マイナビ農業』という新事業スタートのプレスリリースです。8月のリリース発表後には、メディアや農業関係の企業からの反響も大きく、リリースが「届いた」という実感があったとのこと。
「わかりやすい見出しを考えるのも、毎回苦労するところです。なるべく20文字以内に収めようと思うのですが、なかなか収まらないのが現状。書体もパッと目に飛び込んで来るよう、太めのゴシック体を選んでいます」
目立つことを重視した見出しに対し、本文の日本語はMS明朝。英数字はタイムズニューローマンを組み合わせて信頼性や真面目さを表現しているとのことでした。
読みやすく誤読も少ない
UDフォントへのニーズ
プレスリリースのフォーマットや書体は、広報部内で検討して決めたのだそうです。今回はフォントをすべてBIZ UDフォントに置き換え、従来のものと見比べてもらいました。
![](http://resources.morisawa.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/3238/049-1.png)
「まず、見出しのところがとても目立って、読みやすくなったと感じました。文字と文字との間がタイトに詰まっているおかげで、文字を大きくしたり、文字数を増やせるかもしれません。あるいは書類の左右の余白をもう少し広くすることで、Faxを送る際に切れてしまう心配もいらなくなりそうです」
本文はBIZ UD明朝体に変更しました。この書体は明朝体の持つ信頼感はそのままに、デジタルデバイスでの見やすさや、コピー、Faxによる画質の劣化にも強いデザインになっています。
![](http://resources.morisawa.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/3239/49-2.png)
「明朝体は一見すると通常の書体とあまり変わらないようですが、文字のサイズは変えていないのに、文字の中にある空間が大きいせいか、くっきりと読みやすく感じられます」
![](http://resources.morisawa.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/3240/49-3.png)
UDフォントを使用した制作物には、このようなマークを入れることができます。
実際UDフォントは、見やすさだけでなく誤読を防ぎたいサインや官公庁の広報、企業のIR活動などで採用されるケースが増えています。
多くの人に公平に、かつ正確に情報を伝えたいというニーズから、UDフォントを採用し、『UD FONT』マークを表示する制作物も見かけることが多くなりました。
「今回をきっかけに、書体の読みやすさや、ユニバーサルデザインという視点について改めて気づかされました。プレスリリースはより多くの方に届けたいものですので、そろそろこういった観点を導入していく時期なのかな、と感じました」
『+DESIGNING』Vol.44 2017年9月29日発売号より抜粋した記事で構成しました。